介護やってみよう!⑤

今回で研修期間の思い出は最後の投稿となります。稚拙な文章を読んでくださっている皆様には心より感謝しています。

※今回の投稿は、人によっては不快な内容も含みます。


配属が決まっている3階での研修は、ほぼ実践で始まった。大体新人が入ると噂はすぐに広がるもので「経験者やんね?」「○○さんの旦那さんやんね?」等、色々と僕の情報を聞いてきてくれて、コミュニケーションは円滑にとれてとても働きやすい環境だった。

ただ、デイサービスで働いていた情報はどこで聞いたか知らないが、残念ながら身体介護は初心者であるとは思われておらず、まぁ分かるやんな〜みたいな感じで業務を振られてきても、なんとかこれまでの研修である程度は自信もついてきていた僕は、説明するのも面倒なので
あえてそれは言わずに働いていた。

そんな3階での勤務初日は、もう10年近く前なのだが未だにハッキリ覚えている。
介助が必要な方の、トイレ誘導を順番にやっていた時の事。先輩が「パニック君ちょっと助けて〜!」と呼ばれたので行くと、便器に座っている方が全身便まみれになった状態であった。

実は僕が介護施設でなかなか働くのを決められなかった最大の理由は「他人の排泄物の処理が出来るのか?」という事が1番不安だったからなのだ。
それを妻に相談した時には「無理な人はほんまに無理ですぐ辞める。逆に私は利用者さんのう○こ見ながらカレー食べれる。」と言っていて、当時は「俺にそれ出来るんかいな?」と不安に思いながらの施設介護。
そして実践初日、僕は上下の衣類から溢れるばかりの大量の便を見た。
そして思った「あれ?別に何も不快感無いな。」「それより早く綺麗にせなあかんな〜。」こう思えた時に、僕は介護士としてようやく第一歩を踏み出せた気がする。
それから現在まで介護の仕事を続ける事が出来ているのは、初日に洪水の如く溢れている便を見ても、全く不快に思わなかったというたったそれだけの事が僕にとっては大きなターニングポイントだったのだ。

だから今でもあの時の光景は鮮明に覚えている。僕の介護士としてのスタートは、
服の背中から出るぐらいに、大量に出しきって、不快感もあるだろうがそれ以上にスッキリしたのだろう。トイレで全身を清拭されて着衣交換をしている最中も穏やかな笑顔を浮かべていた男性の排泄介助であった。

ただそれだけの事だが、僕の中では
「介護の仕事、やっていけそうやな。」と心から思えた瞬間であった。

なのであの日、前日の夜に下剤を飲んで、朝にトイレに間に合わなかった男性の利用者様の事は今でもハッキリ覚えている。
あの人のう○このおかげで、仕事を転々としていた僕が今でも介護の仕事を続ける事が出来ているのだから。

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