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米メリーランド大学の研究結果による1日に発する単語数の男女差の話はどこから来たのか

読んだ。

これにこんなことが書いてあった。

また、米メリーランド大学の研究結果によると、男性が1日に発する単語数は、平均7,000語。女性が1日に発する単語数は、平均20,000語です。

俺も似たようなことを聞いたことがある。しかしこんなブコメがついている。

“米メリーランド大学の研究結果によると、男性が1日に発する単語数は、平均7,000語。女性が1日に発する単語数は、平均20,000語です。” → これどうやらデマらしい https://languagelog.ldc.upenn.edu/nll/?p=4488

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この手の研究に再現性が無いというのは良くある話であるが、デマというのはかなり強い表現だ。実際のところどうなのか、友人等と簡単に調べてみた。結論から言えば、この研究は「デマ」と言って良さそうだ。

昔からジェンダーに関するステレオタイプとして、「女性は男性よりもお喋り」というものがあるわけだが、今回ポイントとなるのは「米メリーランド大学の研究結果」と1日に発する単語数の具体的な性差だ。

この米メリーランド大学の研究が何かというと、ラットの幼児期におけるFOXP2遺伝子がネズミの音声コミュニケーションにおける性差の原因である可能性を示したものらしい。幸いなことに無料で全文を読める。

この研究がどんなものか、ChatGPTにまとめてもらった。

概要
FOXP2遺伝子は、人間の言語やスピーチの獲得に重要であり、鳥類や哺乳類の音声生成にも関連しています。研究では、オスのラットの幼児がメスよりも多くのUSVを発し、その周波数と振幅がメスよりも低いことが観察されました。また、母親はオスの子供をメスよりも優先して巣に戻す傾向がありました。さらに、オスの脳のいくつかの領域でFOXP2タンパク質の量がメスよりも有意に多いことが確認されました。このFOXP2の減少は、USVの性差を消し、母親が子供を戻す順序を変えることが明らかになりました。

主な結果
オスのラットの幼児は、メスよりも多くのUSVを発し、その周波数と振幅が低い。
FOXP2タンパク質の量がオスの脳の複数の領域でメスよりも高い。
FOXP2の量を減らすと、USVの性差が消え、母親の行動が変わる。
人間の4歳の男児の脳の左半球皮質では、同年代の女児よりもFOXP2タンパク質の量が有意に少ない。

この研究は、FOXP2が哺乳類の音声コミュニケーションにおける性差の神経生物学的基盤の一部であることを示唆しています。また、この遺伝子がヒトと動物のコミュニケーションにどのように寄与しているかを理解するための重要な手がかりとなるでしょう。

ここで面白いのは、この研究ではヒトに関して発話する単語数に関する具体的な言及は無いということである。研究の一部で、女児が男児よりも早く言語を獲得し、単語数や文の種類が豊富であることが一般的に知られているということに触れているが、具体的な単語数は言っていないのだ。

どうやら、この研究を紹介する時に様々なメディアが「男性は平均7,000語、女性は平均20,000語」という言説と結びつけたことで、米メリーランド大学の研究結果として広まったらしい。

ならば「男性は平均7,000語、女性は平均20,000語」はどこから来たのだろうか。

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