性別移行と性的指向の変化

相変わらずトランスジェンダー関連の本を読んでいるわけだが、これになかなか興味深いことが書いてあった。

曰く、トランス男性がゲイコミュニティに参加したり、男性との性行為をするようになるというのは、珍しくない現象だというのだ。しかも先天的ではなく、性別移行後になってからそうなる人がいるらしい。直感に反する話であるし、ややこしさがあるので順に説明していこう。

まずそもそもの話として、トランス男性とは性自認が男性で、出生児の身体が女性である人を指す。つまりここに性的指向は関係ない。従ってトランス男性の中には性的指向が女性の人もいれば、男性の人もいる。

性別移行前から性的指向が男性であるトランス男性については、今回は特に言及しない。なぜならそのような人がゲイコミュニティに参加するのは自然な流れに思えるからだ。

直感に反するのは性的指向が女性であるトランス男性の方である。このタイプの人は性別移行前、つまり身体が女性である時から女性を愛する。身体が女性で性的指向が女性ということで、レズビアンコミュニティに参加していることも多い。

そんなトランス男性が、性別移行に向けて男性ホルモンを投与されることで変わることがあるという。肉体が男性的になるに従って、男性に惹かれていく。シス男性の性的指向は女性であることがマジョリティであることを考えると、これは直感に反することだ。

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