美ら海水族館の骨組
骨組マニアです。
今回は美ら海水族館の骨組のご紹介です。
所在地
美ら海水族館は沖縄本島の北西部に位置しています。那覇空港から車で2時間程度で行くことができる沖縄では定番の観光地です。
建物概要
階数:地上4階建
構造:鉄筋コンクリート造
建築面積:約10,000㎡
延床面積:約19,000㎡
主構造は鉄筋コンクリート造です。屋根や水槽など一部に鉄骨が使われています。見えている柱はRC造で大きい断面となっていますが、1から4階まで吹き抜けとなっているため遠くから見ると結構細く見えます。
今回の骨組
今回紹介する骨組は水槽のガラスを受ける鉄骨です。H形鋼の組み合わせで構成されています。ハンチ加工や曲げ加工などの鉄骨加工が施されていることからおそらくビルドH形鋼ではないかと思います。柱梁接合部を見ると梁段差が生じており、内ダイアフラム(スチフナ?)と通しダイアフラムの納まりとなっています。
上図は地震力などを受けた時の曲げモーメント図です。梁端部が剛接合となっているラーメン構造では柱梁接合部の曲げモーメント負担が大きくなります。そのため、梁は中央部よりも端部の方が大きい断面性能が求められます。
上図は一般的な梁端部のハンチ加工です。このようにハンチ加工により、梁せいを大きくすることで断面性能をあげています。
一方で、今回の骨組は梁の端部がピン接合となっています。上図のように水槽の水などを等分布荷重で負担していると仮定すると、梁端部にはほとんど曲げモーメントがかかりません。
ではなぜハンチ加工をしているのでしょうか。多分デザイン上の理由がメインなのかなと思います。それか負担せん断力が大きくボルト本数を確保したかったのか。いずれにしても、骨組を見ながら、設計者の意図を想像するのは楽しいですね。
まとめ
今回は美ら海水族館の骨組について考察を交えながら紹介してみました。設計者の意図を想像しながら、骨組を観察してみるのは楽しいですよ。
以上、骨組マニアでした。