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新刊「カルチャーモデル」を読んで感じたことを、noteの中では(多分)最速で書いてみた

本の紹介者:あい https://note.com/ai_h

こんな人に読んで欲しい
・人のマネジメント、特に若手や優秀な人材の退職に悩んでいる人
・自社やチームの組織文化を「カルチャー」として意図的に作っていきたいと考えている人
・カルチャーを浸透させる具体的な方法を学びたい人

1.なぜカルチャーが重要になるのか

この本を手に取り、目次を見た時に「おっ」と心の中でつぶやきました。
1章から始まらずに0章から始まっていたからです。しかも0章は結構なボリューム。これは何か意図があるはず。

読み進めると0章に書いているのは「なぜカルチャーが重要になるのか」。
ビジネスを回していく上で、根幹となる「カルチャー」。その重要性について、0章で徹底して読者と目線合わせをした上で、以降の章でカルチャーのつくり方から浸透の仕方までを説明しています。

筆者はなぜ「カルチャーの重要性」について、力を入れて説明したか。
いきなり個人的な見解になりますが、そこには日本企業独特の背景に理由があるのでは、と感じました。

日本には100年企業が3万社以上あり、世界最多です。ただ、その中で自社の組織文化を「意図的につくってきた」企業は、かなり少ないはず。
どちらかといえば誠実に顧客に向き合い、丁寧な仕事をしてきたことで良い結果につながった、それが後天的に醸成され組織文化になったケースが圧倒的に多いように思います。それがあるタイミングで言語化されるか、もしくは言語化されずとも「あうんの呼吸」でメンバーに伝わる。あいまいで言語化しにくい、でも確実に存在する組織の価値観や行動規範=組織文化だったと感じています。

長期安定雇用が求められる時代はこれで十分でした。
ただ、昨今は給与や安定性よりも「自らの価値観に合う企業で働く」ことを重視する人が増え、そういった企業を求めて転職することも当たり前に。であれば、企業側も「どんな価値観か」を伝えていく必要があります。

つまり
企業が「どんな価値観、カルチャーなのか」を言語化して経営層が体現・発信し、それを社内に浸透させていくことの重要性が、一層高まっている。
カルチャーを浸透させることが、最も大切な企業の入り口である「採用」での期待値コントロールにもつながる。

そういうことを伝えるために、0章「カルチャーの重要性」があるのでは、と感じたのでした。

2.意図してカルチャーをつくる

「どのようにビジネスを設計し、つくっていくか」がビジネスモデル。
同じように「どのように意図してカルチャーを設計し、つくっていくか」がカルチャーモデルです。
経営資源は、ヒト・モノ・カネ。ヒト=組織、モノ=事業が両輪となって初めてカネ=資金を生むサイクルを回します。

うっすらそれを理解していたつもりでしたが、この図をみたときに改めて気がついたことがあります。

もでる

ヒトそのものへの投資は、採用、給与、育成などで多く語られます。しかし、組織への「投資」を語ることは少ないかもしれない。特に「カルチャーへの投資」=意図してカルチャーをつくるために投資することは少なかったかもしれない。
そもそも、カルチャーを意図してつくるってどうすれば良いのか分からない。そんなことに気がつきました。

そしてこの本では、以下の5つのステップで具体例を挙げながらカルチャーのつくり方を説明しています。

(1) 現状のカルチャーを棚卸する
(2) ビジョン・ミッションを設定する
(3) カルチャーの方向性(スタンス)を決める
(4) カルチャーを言語化する
(5) カルチャーを浸透させる

それぞれの細かい内容は本編に譲るとして、特に印象に残った箇所は、最後の「カルチャーの浸透」です。
 
カルチャーでは言語化しただけでなく、十分「浸透」していなければ、時が経って形骸化する可能性があります。
代表的なものはエンロン事件で有名な、エンロン社。


「integrity,communication,respect,excellence(誠実さ、コミュニケーション、尊敬、卓越性)」という「標語」がロビーに掲げられていたにも関わらず、不正会計が行われました。
そもそもカルチャーを言語化しなければ、意図しない方向に文化が形成され、組織が腐っていきます。ただ、言語化しても「浸透」していなければ、同じこと。
「浸透」まで言及しているところに、実行ベースでの配慮が感じられました。

3.どのようにしてカルチャーを浸透させるか

では、どのようにしてカルチャーを浸透させるか。
そこで登場するのが、「コトラーの5A理論」です。

実践を理論のフレームワークできれいに整理するところが、ニクい笑
ヤバい。理解しやすいではないですか。

経営陣の思いや声は、従業員には届きにくい。

顧客に伝える場合と同じように伝えなければ伝わらない、ということなんだなと、しみじみ考えさせられました。

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この中で特になるほど、と思ったのが「訴求(Appeal))のところです。
「入社前後、人事評価、配置昇進、退職までのあらゆるタッチポイント=EX(Employee Experience)ジャーニーの中で、一貫してカルチャーを伝え続ける」ことが大切ということ。
確かに、目に見えにくいカルチャー(ソフト)を制度(ハード)でメッセージとして伝えることが一番分かりやすいです。

絶好のタイミングを逃さないように、あらかじめ設計しておくことが大切なのですね。何事も「神は細部に宿る」。

経営陣としてはつい事業やお金に目が行きがちですが、組織もあらかじめ考えて設計しなければと、考えさせられた一冊でした。


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