芸術のまちづくりゼミ公共ホール編 指定管理者制度の‘裏側’から見た公共ホール~事業予算ゼロの功罪~に、参加して(メモ)

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≪日時≫
2019年5月18日(土) 14:00〜16:30
≪場所≫
大野城まどかぴあ小ホール(福岡県大野城市曙町2‐3‐1)

≪定員≫100名(申込先着順)
≪参加費≫1,000円(当日、受付で申し受けます) 
≪申込み方法≫アートサポートふくおか office@as-fuk.com へメールで下記をご連絡ください。
①お名前 ②(あれば)ご所属 ③参加の動機 ④当日も連絡がつくメールアドレス、電話番号など

*後援:日本アートマネジメント学会九州部会

長崎市チトセピアホール・出口亮太館長とニッセイ基礎研究所・
大澤寅雄さんによる徹底討論。

導入から15年を経過した指定管理者制度。「経営の効率化」に目が行きがちで、公共ホールにとって課題が多いともいわれています。
そんななか、“事業予算ゼロ”でも独立採算でユニークな事業を連発する長崎市チトセピアホール・出口亮太館長の動向に、全国的な注目が集まっています。しかし・・・「予算ゼロで事業をやっているということが、一体どういうことなのか、掘り下げて考えるべきでは?」と鋭い視線を投げかけるのが、気鋭の文化政策研究者・大澤寅雄氏。今回の「ゼミ」は、出口館長の先鋭的なホール運営のお話に加え、「単に『効率化』という文脈に絡め取られずに『公共ホールの使命とは何か』『公共とは何か』という本質に突っ込んでいく」と意気込む大澤氏と一緒に、チトセピアホールを徹底解剖。公共ホールのあり方を指定管理制度の“裏側”から考えます。

<出口 亮太氏プロフィール>
1979年長崎市生まれ。2015年に若干35歳で長崎市チトセピアホール館長に就任。先鋭的な企画を外部資金に頼らず独立採算で実施する事業計画が、指定管理者制度下の地方中小規模館の先進的な運営スタイルとして注目を集める。近年では近隣の公共施設、大学や医療福祉機関、NPOとも協働事業を展開しつつ、現場の知見をもとにしたホール運営についての講義を各地で行う。
活水女子大学非常勤講師(舞台芸術論)。

<大澤 寅雄氏プロフィール>
(株)ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室主任研究員、NPO法人アートNPOリンク理事、九州大学ソーシャルアートラボ・アドバイザー。2013年に福岡県糸島市に移住し、地域文化を生態系として観察する「文化生態観察」を実践中。地元アーティストの主導で低予算のわりには全国に知られている糸島国際芸術祭『糸島芸農』実行委員メンバー。

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主催者っぽい視点でこのトーク企画をざっくりまとめると、

事業予算ゼロでここまでやっているチトセピアホールの出口館長はすごい。
ただ、これを受け取った行政辺り側からしてみると、「事業費なしでもやってけるんじゃん」「他都市でできていることだから、うちでもそうしましょう」という、事業費をゼロにしてもいいんだという風潮を助長したり、行政が民間の努力に甘える構図を作ってしまうのは、良くない。
どういうものを犠牲にして成り立っているものなのかを明かにして、これをベースに、行政、指定管理者、そのほかの人たちが、指定管理者とか文化振興とか公共ホールのあり方を考え直すべきだ、
みたいな内容でした。

質問は挙手性ではなく、紙で受け付けるのと、sli.doで受け付ける2パターンがあり、sli.doが匿名で書けるので、なかなか良かったです。
質問の数としては紙のほうが多く、ネットで質問しているのは特定の数名だけだったかもしれないですが、紙の質問を大澤さんが選定している間に、ネットの答えやすいところから出口さんが回答していく、という形を取っていて、流れとしてもよかった感じです。終了後もしばらく見られるのがいいです。

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(やばそうなところを削除したメモ)

長崎市チトセピアホールは、
イオンなどが入っている複合施設内にある、
可動式客席が500席と楽屋、ロビーのみの施設。
職員は常勤5名(館長、総務、舞台、音響、照明)
稼働率は前指定管理者の26年度までの平均58.3%を大きく上回る、70.8%。ホールの全国平均53.3%を考えても、良い成績。

委託料金として1,600万円が担保されていて、利用料金制で月100万円×12か月で、総予算とんとんかなという具合とのこと。

行政との契約上、自主事業はやってもいいけど、何の特例もないよ、やる前には承認は受けてね、というものらしく、予算どころか、先押さえもかなわないとのこと。
13か月前の一般受付が終わった後、空いている日程でやることになるので、助成申請もできないため、チケット収入でペイする事業のみに絞ってやることになる。

行政主導的な長期的戦略的な事業はそもそもできないので、短期スパンで既存のリソースを利用できる事業を実施して、行政の長期計画の道しるべとなるという風に位置づけるようにした。

「公共心」にもとづいた、合法的、一時的な目的外利用、これを「公共ホールをハックする」と呼んで、門戸を広げることにした。

「企画」
チトセピアはサブカルチャーとよく言われることがあるけど、「現在進行形」の企画内容を意識している。真打より二つ目、ビッグバンドジャズよりフリージャズ、予算の関係ということもあるが、評価の定まったものではないものを提供することで、都市と地域間の格差を減らしたい。

「空間・場所」
舞台・客席という関係性をとらえなおし、企画内容によって、舞台上舞台、ホール内が企画に合わないようなら、ロビーを使ってみるなど、新しい活用法、価値を提案するようにした。

「予算」
場所があると、会場の規模ありきになりがちだが、ここは逆に、企画から逆算して、チケット代はいくらが妥当か、それは何人で成立するかを考えて、予算と内容と場所の関係を弾力的に考えた。チケット代×ちょうど良さそうな人数×70%を総予算として企画を立てている。

「協働」
他分野とのコラボレーションを通じて、公共という考え方を自分たちの中でも更新していく。
劇場法というのがあるが、図書館法、博物館法、社会教育法、都市公園法と比較することで、なにかヒントを得られることがある。例えば、都市公園法の中で、どうやったら公園にスタバを入れられるかというような議論や抜け道の中に、劇場を新しく使うヒントが隠れていることがあると思う。

公共施設って、なかなかレポートをサイトにアップしたりというところが少ないのですが、出口さんは結構マメにされていますよね。それが一過性で終わらせないという意思を感じさせていいです。(大澤)
そうですね。一過性という指摘があったので、それは、そう見えるようにしてしまっている自分の力不足。落語が、とかWSとか、というジャンルの切り口でなく、若い世代を集めたい、というような切り口のテーマでいくつかの事業をやったりしているので、自分の中では繋がっているイメージはあります。(出口)

効果は、動員数でしか行政は測れない、という元行政の方からのアンケートが届きました。「効果」というのを私たちはかみ砕いて考えないといけない。その切り口は「設置目的」にあって、たとえば、「文化芸術の振興」と書いてあったとしたら、「文化」とは何か、「文化芸術」をどう捉えるか、「振興」というのはどういう状態になっていることか、そういうことをかみ砕いてかみ砕いた先に、あぁ、これが達成されることが「効果」かというのが見えてくると思います。その中には、利用者の増加というのも要素としてはあるのかもしれないけど、これだけということが風潮にあるとすれば、これは正していかなくてはいけない。(大澤)

人材育成をどうしたらという質問がありますね。人材育成って、よく言いますけど、クリアなイメージが持ててることって少ないんですよね。これができるようになっていること、というクリアなイメージが持てれば、何をすればいいか、自ずと決まってきませんかね。(大澤)

どう語るか、の「どう」については、「定量」「定性」で積み上げていくしかないだろう。問題は「誰が」なんだが、現場がまず声を上げるというは大事だと思うが、これだけだと、単なる利益誘導とみられて、うまくいかない。現場同士が中間支援的な何かを作って、第三者的な声を上げるというのも有効だと思う。

うーん。ネットに上げていいのかなというものを削ったら、あまり残らなかった。

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