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台風9号(2020年)で物置小屋が人の持ち物を破損したとき

加害側だし、まだ解決しきっていないものを、得意げに書くつもりはないのだけど、いざ困ったときに、自分自身がネットで満足な情報を得られなかったから、誰かの役に立てることを信じて、メモとして書き残す。

2020年9月2日の夜から、3日の朝にかけて、台風9号が九州の西側を北上していった。3日の未明にピークを迎え、きしむ家の中の布団のなかで、ただただ嵐が通り過ぎるのを待った。

3日朝6時。台風は過ぎ去り、やり過ごせたと安堵して窓を開けた。庭にあるべきものがなかった。物置小屋が土台を残して、上物がすっかり消えている。その奥の柵も消えている。

我が家はちょっと高台にあり、隣の敷地は3メートルくらい段が下がっている。そこは月極駐車場になっている。

その駐車場の柵と、そこに停めている車をまたがるようにして、物置小屋が落ちていた。

それを見た五歳の娘は、「モノが出しやすくなったね」と言った。

警察

取り急ぎ、まずは車の持ち主にアクセスしないといけないと思うも、連絡先がわからない。仕方がないから110に電話を入れた。

「事件ですか。事故ですか。」
「事故・・・、ですね。台風で庭の倉庫が飛んで、人の車の上に乗っています。相手の持ち主がわからなくて、連絡の取りようがありません」

5分とちょっとくらいで警察官が2名いらっしゃった。事情を説明したけど、ナンバーが他都市のもので、持ち主の特定は、すぐには難しいかもということだった。

「ここに電話くださいというメモをね、ワイパーのところに挟んでおいたらいいですよ。見たら状況わかるし。それで、ほら、あそこにここの駐車場の不動産屋の番号があるでしょう。9時か10時になったら、電話とれると思うから、あそこに電話して、あとは不動産屋を通じて話をつけてもらうのがいいでしょうね。」

警察からのアドバイスはこんな感じ。写真も撮ってなかった。そっか、これが「民事不介入」か。刑事事件につながらないような、個人間の弁償とかには、警察は関わっちゃいけないってことだったと思い出した。まぁ、でも、車の持ち主を探してくれて、見つかったら連絡もしてくれるというんで、呼んでよかった。

保険会社

警察を待っている間に、保険会社に電話した。概要を話しただけだったけど、

「では、必要書類を郵送しますので、それで手続きしてください。」

と、あっさりしたものだった。「このケースで保険が出るんですか」とか「見に来られないんですか」といろいろ聞いてみたけど、

「写真を添付しておいてください。それで審査します。」

ということだった。あとで不動産屋に聞いてみたところ、大手は大体そんな感じということだった。いちいち見に来るような小さな保険会社のほうが、却って時間がかかるとのことだった。

それにしても「郵送」って、なんか悠長な感じがする。メールとかでくれたらいいのに。とにかく、保険会社の対応は、待ちだ。

車の持ち主

一旦家に戻り、家の窓から駐車場の様子をうかがっていたら、若い男性が自転車でやってきた。小屋の乗った車の前で停まったから、持ち主だろう。

「すみません。車の持ち主の方ですか」
「あ、はい。警察から連絡を受けまして」

警察から電話である程度の状況は聞いていたみたいで、男性は落ち着いていた。その日は車を使う予定がないから、小屋の撤去は急がなくてよいとのことだった。お互いに連絡先を交換して、いったん別れた。もちろん、その前に謝罪した。

不動産屋

サイトを見ると、9時から営業しているということだったから、そのころ不動産屋に電話した。状況を見に人をやるということだった。

いらっしゃった方は、どうなっているのかは一目でわかったみたいだけど、ちょっと怪訝な様子もあった。

「あのぅ、これ、警察から不動産屋を通すように言われたんですか?こっちの柵は、まぁ、わかるんですけど、車は、当事者同士かなぁという気がしているんですけど。」
「あ、そうですね。その時は持ち主に連絡が取れなかったから、そんな風に言われたのかもしれません。」
「でしたら、車の件は、以後は当人同士ということで、いいですかね」
「そうですね。そうします。」

保険会社からは書類を届けるとしか言われていないことを話すと、「まぁ、どの道、修理の見積もりを出すように言われると思うんで、必要な見積もりは出しておくといいですよ。」ということだった。柵については不動産屋の関係のある業者を紹介してもらえないかと申し出たが、なぜか断られた。「本田さんのご都合のよいところでいいですよ」ということだった。

大家さん・駐車場オーナー

そうこうしているうちに、唖然とした顔で、男女が近づいてきた。その表情から、ここに関係のある方だとわかる。「ここのオーナーの方ですか」と聞くと、唖然としたままの顔で頷く。まずは謝罪をし、警察、保険会社、不動産屋、車の持ち主とそれぞれ話をしていることを話すと、緊張が解けた。これから待ち受けているであろう膨大な作業と時間の浪費を想像して、唖然とされていたんだろう。

柵の見積もりをしたいことを告げると、業者を紹介してくれた。

建設会社

電話口で紹介してくれた大家さんの名前を出すと、すんなり話が進んだ。やはり台風での被害があちこちにあるということで、こちらへの訪問は昼過ぎになるということだった。撤去業者についても相談してみると、いくつか当たってくれた。ただ、そちらも他の被害で人が取られているということで、昼過ぎになるということだった。

車の持ち主がゆっくりでいいと言ってくれたにしても、事故に気付いてから5時間が経過して、何もしないわけにいかず、各所に了解を得ながら、撤去できるものを撤去しだした。

手を付けてみると、意外と自力で行けそうだという感じになり、小屋をバラした。

撤去業者にキャンセルの連絡を入れ、レンタカーで軽トラックを借りてバラバラになった小屋を指定の廃棄場所にもっていき、撤去の連絡を車の持ち主に電話したところで、16時半が過ぎた。

あとは、自動車の傷と、駐車場の柵の弁償が残っている。保険会社から、早く書類が届かないかな。

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