見出し画像

過去を学ぶより、オンゴーイングで走りながら学びを深めていくべき時代が来た

普通の企業も「常連」を作っておかないといけない

『ファンベース』で知られる佐藤尚之(なとなお)さんを、僕が運営しているオンラインコミュニティ Honda.Lab.のゲストでお招きしてお話をお聞きしました。

 コロナがやってきて、飲食店は多くが打撃を受けたわけですが、受けなかった店もあった。それは、しっかりとした常連がついている店でした。

 お店にファンがいたか、こそが、明暗を分けたということを僕は確信していたのですが、さとなおさんのお話で、それは飲食業にとどまらず、一般のビジネスでもそうだったのだということを知りました。

 早くコロナの騒ぎが収まってくれれば、また前のようになる、と考えている人もいるようですが、それは間違っています。ヨーロッパやアメリカはすでに第3波が到来したと言われていますし、ワクチンが早々にできる保証もない。そうこうしているうちに、第2コロナが出てこないとも限りません。

 僕が思うのは、もうかつてのようには戻らない、ということです。人々の行動はすでに変容してしまった。行動することへのハードルは、とんでもなく高くなった。

 本当に買わなければいけないものしか買わなくなってしまったし、本当に行きたい店にしか行かなくなってしまった。逆に本当に欲しいものはすぐにでも買うし、本当に食べたい店には感染リスクを押してでもいくし、テイクアウトを使ってでも食べる。逆に、どうでもいいところにはまず行かないし、取り寄せをしたりもしないわけです。

 コロナ禍で助けてほしいとクラウドファンディングも急増しましたが、これもファンがいるからこそ、成立するわけです。ファンもいないのに、成立するはずがない。実際、集まっていないところも多い。

 飲食店の例は、とてもわかりやすかった。しかし、これはリアルビジネスでもそうなのです。普通の企業でも、「常連」を作っておかないといけなくなってきている。その理由も、さとなおさんから詳しく聞きました。

 新しいお客さんをとにかく開拓するようなやり方ではなくて、これからはファンをしっかり見つけ、広げ、彼らに受け入れられるようなビジネスをしていかないといけないのです。

 コロナは社会を変えました。すべての企業が、変わらなければいけないのです

もはやMBAを取りに行っても仕方がない

 日本の大きな変化といえば、1945年の敗戦でしょう。これによって、戦前や戦中の常識は、まったく変わってしまった。生き方も、考え方も、働き方も、政治も、法律まで変わってしまった。

 それまで信じていた制度が崩壊して、国そのものが変わった。このときに求められたのは、企業はもちろん一人ひとりも変わることでした。やり方を変えなければ、生き残れなかったから。根本的なやり方を、変えていく必要があったのです。

 僕は、コロナの変化はこれと同じくらいに大きいと思っています。もしかすると、もっと大きなものになるかもしれない。

 だからコロナ後に象徴的に言っているのは、もはやMBAを取りに行っても仕方がない、ということです。ビジネススクールでは、ケーススタディを学びます。アメリカなら、IBMやP&Gなどのグローバル大企業の戦略を学ぶ。

 しかし、今そんな過去のケーススタディを学んで本当に役に立つでしょうか。10年前、5年前とは、コロナでまったく世の中は変わってしまっているのです。そこでわざわざ学ぶ価値が、果たしてあるのかどうか。

 もっといえば、インターネットのない時代のビジネスケーススタディに、インターネットが当たり前の世の中で、本当に意味があるのか。新しい時代のケーススタディを作るには、時間がかかります。MBAを学びに行くのは、それからでしょう。インターネット前、コロナ前の成功事例は、役に立たないのです。

 もちろんビジネスの本質を学ぶことには意味があります。しかし、これだけの変化の中では、過去を学んでいるだけでは間に合わない。オンゴーイングで、うまくいくこと、うまくいかないことを直接、学んでいったほうがいい。走りながらシェアしていったほうがいいと思うのです。

「1対n対n」で学びを深めていける場

 オンゴーイングでやっていくとき、一人でチャレンジをしていくという方法もあります。一方で、100人が集まって、それぞれのチャレンジを共有し、コミュニケーションを深めながらシェアしていくこともできる。走りながら成功事例をさらによくしていき、失敗事例からも学ぶ。

 これから必要なのは、こうしたオンゴーイングで学べるコミュニティだと僕は思っています。一人ではできないオンゴーイングが、仲間と一緒にできる。僕が運営しているオンラインコミュニティ Honda.Lab.は、まさにそんなコミュニティを目指しています。

 僕はもともと、サロンのようなものは好きではなかったし、避けていました。しかし、コロナがやってきて、世の中が変わって、これからの時代はファンコミュニティが個人にも企業にも絶対に必要になると思いました。

 そして最初は少し実験をしてみてわかったのは、オンラインコミュニティは「1対n」だけではなく、「1対n対n」を可能にするものだったということです。僕が本を出しても僕対読者という「1対n」にしかなりません。しかし、コミュニティでは、そのn同士が「n対n」でつながっていく。新しいものが勝手に生まれていくのです。

 もともと僕が好きだったのが、人と人とをつなげることでした。これまでも、たくさんの人をつなげてきました。それをリアルでやってきたわけですが、オンラインでやれば、もっと価値を出せることに気がつきました。

 リアルな出会いは、その後もフォローしていくことはなかなか難しい。場を提供するのも、大変です。しかし、オンラインコミュニティでは、1対n対nが日々動いていますから、出会いがその後にどんどんつながっていくのです。何かが起こっていく。それが面白いと思いました。

 実際、Honda.Lab.には経営者も多いのですが、いろんな分野の人が集まっています。誰かから「困っている」と声が上がると、あちこちからアドバイスが向かう。何か新しいことをやろうとするときに声を上げると、実はそのノウハウを持っている人がいたりする。こんな「n対n」があっという間に起きたのです。

オンラインとオフラインを組み合わせる

 そしてコミュニティで大事なことは、面白い人がたくさんいるということです。そういう人たちが集まることで、コミュニティはまた面白くなる。だから立ち上げるときに大事にしたのは、面白いメンバーを僕が最初に集めてくることでした。

 これが、Honda.Lab.でモデレーターと呼ばれている人たちです。僕が面白いと思っている、いろんな世界の人たちを集めることで、そこからメンバーが刺激を受けたり、新しい発想を得たりできる。

 しかも、オンラインでのつながりだけでなく、オフラインのリアルな場も設定しています。僕自身、メンバーに会いに、福岡、熊本、大阪、金沢、京都にも出かけていきましたし、メンバーの呼びかけのSDGsツアーで秩父や千葉にも行きました。

 オンラインとオフラインが一緒になると、さらに価値は大きくなります。リアルだけでもできなかったこと、オンラインだけでもできなかったことが、両方を組み合わせることで、できるようになるのです。

 実際、メンバーからは、こんな声をもらっています。

「自分やりたいことを、メンバーが全力で応援してくれる」(Honda Lab. プロデューサー 高田和樹)
「組織体の変革期に学べることが多い」(セルソース代表取締役CEO 褄本理人)
「強制的なつながりだけだと時代に適応できなくなる」(住友商事部長代理 千葉拓也)
「集まっている人達たちがムチャクチャ面白い」(あいホーム代表取締役 伊藤謙)
「金沢で学べる。リアルでは金沢から福岡や東京に行く」(Honda Lab. コミュニティマネージャー 根畑陽一)
「仕事と遊びの垣根をなくし、そこから新しいものを生み出したい」(京橋白木代表取締役 竹下茂雄)
「いろんな人と触れることで可能性が広がる」(プロランナー 大迫傑)

アウトソーシング研究会からサウナまで

 Honda.Labにはすでに、いろんな領域を深掘りし、研究やディスカッション、情報交換ができるグループがたくさんできています。経営にプラスになる分野のものなら、アウトソーシング研究会やDX研究会、アプリ研究会、ガジェット研究会、EC研究会などなど。

 堅いものもある一方で、サウナやハワイ、デュアルライフ、出版プロジェクトや読書ディスカッション、雑談といったグループもあります。

 今、メンバーは約200人。人数が多ければいい、というわけではないのですが、これから100人〜200人はプラスしていこうかな、と思っています。

 ここからいずれ、ビジネスも起こっていくでしょう。最終的には、ラボからどこかに出資したりしても面白い。変化の時代です。関わっているみんながハッピーになり、何か人生のプラスを得ていく。そんなコミュニティになったら、と思っています。

 興味があれば、ぜひこの動画を見てみて下さい!どんな事をやっているのかイメージしてもらえると思います。


本田直之

応援よろしくお願いします!