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読者の心をかき乱すのに掴んで離さない。
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読んでる途中から<春田先生天才では!?>と興奮しまくりだった。一冊の中に、満漢全席では!?というほどの情報量がとっちらかることなく料理されているのだ。ほとばしる妄想、層の厚い脇キャラたち。そして思春期真っただ中である登場人物の”夢”をうまく使い、読者の心にミルキングアクションを行いながら物語を運んでいく。一見、思春期ラブコメという印象を抱くが、主人公が自分自身とどう向き合っていくかまで丁寧に描かれている。
目を引いた部分。主人公である日野日向は同性が好きで、同性への欲情をハッキリと自覚している。恋愛への憧れもたっぷり抱えているが、同性が好きということで苦い経験もしている。
反対に、日向が片思いする相手の大野亜輝は、男子校に通っているにも関わらず総勢40人もの女子生徒に告白されるほどのモテオブモテ(Ⓒ30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい)。友人から<女をとっかえひっかえして遊んでるんじゃないか!?>と疑いの目を向けられるほどだが、実は違うらしい。そして亜輝は日向との出会いを機に、自分の中に息づく<あること>に気付く。
欲情というリアリティと丁寧な心情描写。苦さと清々しさ。様々な感情を込めて読者を釘づけにする素晴らしい一冊。
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