雲はゆっくりゆっくり流れてく

休憩時間。ベンチに寝転ぶ。タバコを吸いながらスマホを手に持つが頭の中が渋滞している。テーブルに置くと空の青さに初めて気がつく。本当にきれいな青だ。羊の雲がニヤけていくように笑ってヒョーっとふざけて雄叫びをあげた。小学生の頃に雲、という詩を書いた。学校の提出物に本音を書くなんてありえないと捻くれた自分は思っていて、しかしなぜかその詩の授業だけ素直に書いてみようと思った。
雲はゆっくりゆっくりながれていく 
僕ものんびりいきたいな
と最後に書いたのは覚えている。先生が、その時は若い女の人だった気がするが、褒めてくれた。人に褒められることが初めて嬉しかった。母親にも詩のことが伝わっていて気恥ずかしかった。その詩にはまさに自分が表れていたから。家の中でも表には出ない自分が。たしか絵も描いたそれはどこかに行ってしまった。もう戻る時間だ。さっきまではやり過ごしていた時間がこうして書き出すと惜しくなってくる。時間の流れが変わる。スマホで打つのとパソコンで書くのは感触が違う。手書きももちろん違う。運動が動きが違う。毎日の生活も動き方を変えれば流れが空気が変わる。カラフルに塗られた箱の見えなかった側面が見えてくる。ずいぶん寒くなってきてパーカーを着ても肌寒い。青い空、つめたいかぜ。

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