エンジニアを甘やかせば技術の成長を止める

私用が重なってしばらく間が空いてしまいました。エンジニアにとって製品完成間際はどうしても時間が取れないことがある。言い訳ではあるが。

さて、日本という国はニッチではあるかもしれないが、新しい技術が生まれ話題になることは多い。ビジネスは下手ではあるが、まだまだ分野によっては先端技術、特に基礎部分の世界の技術を担っていると言っても良い。エンジニアの自分は当然その内容に興味があり文献や特許を読んだりして理解を深めることが多い。常に幅広い発想で新しい技術を開発するエンジニアには関心する。
一方でその裏にはたくさんの失敗がある。設計や開発はやってみるとわかるが完璧なものは存在しない。車だって頑丈で乗っている人を守ることを優先にすることは出来るが重量が重くなるので燃費は悪くなるし、排気量も小さくならない。市販車はこの辺のバランスにて設計されている。高級感と排気量の大型化は比例しても良いが軽自動車はそもそも排気量が決まっているのでそれに対して出来るだけのことをやると無理も出てくる。車でなくてもどんなものであっても設計的に100点というものはない。必ずここはちょっと弱くして・・・という妥協点というか、味付けのもとで設計は行われている。それゆえに試作評価テストというものを実施し狙っている通りの製品になっているか確認するものだ。この評価時点で商品レベルではない、期待値ほどではないとなると振り出しに戻ってしまう可能性があるため、程度問題でもあるが、車産業でも多くみられる不正(ごまかし)ということに手を出すケースも出てきてしまう。※燃費問題等はごまかしで試験の不正は捏造とやや異なる。
最近気になるのはロケットが5秒で爆発(自動爆破処理)しても失敗という言葉が聞かれない。むしろ開発に失敗という言葉はないという発言まで出ていた。翌日の新聞等にはさすがにほぼ全部失敗と記載されていた。さすがに言い過ぎだと思う。自動車の商品検査時の不正にも社員は悪くない、経営層の問題と発言し当事者の問題は不明確にしている。ただし内容を熟知しているエンジニアが深くかかわっていることは明白である。社員を守るという立場はわかる。ただしエンジニアからしたらどうかと思う。自分であれば自動車の不正にしろ、ロケットの失敗にしろ、彼らは悪くないとか、失敗ではないと言われた方がむしろきついと感じてしまう。当事者が反省するとか次はがんばるというのであれば良いがトップがそれを軽く言ってしまうのは正直エンジニアとしてはきつい。むしろそこに焦点が当たらないようにしても明確になった時点でエンジニアの口から解決方法などを説明しその出来栄えなどをしっかり見てもらう方がはるかにエンジニアのためになる。
記載したが、エンジニアは100点満点の設計をしているわけではない。ギリギリの設計であったり想定されている振動値より大きな振動や衝撃波を受けたら早期破損もする。でもそれは決して恥ずかしいことでもなく、ある意味設計通りであったということ。それがあるから次の設計にノウハウになり、より良い製品につながっていくことになる。しかし最近はパワハラ等を懸念してなのか、その辺を下手に擁護してしまう。叱責することが良いと言っているのではなく、問題があった部分こそしっかり何があったのか、どうしてそうなったのか設計の誤りなのか、想定の誤りだったのか明確にしなければならない。それがなければエンジニアは育たないのだ。それでは何回やり直しても開発期間は伸び、失敗は繰り返される。日本の技術力が低下していると言われているが根本にあるのはこういうしっかりとした検証が出来る人、評価出来る人がいなくなっていることが問題なのだ。会社の中でのこの価値観を理解仕手いる人も少ないだろう見た目は良くなっているものの家電を含めて多くのものが過去の製品と比較すると寿命が短くなっている。意図的にやっているのであればそれで良いが、中にはその検証が出来ているのかどうか不安になる。昔はこんな壊れ方しなかったのにという部分が早期破損して、寿命ですと平気で説明するがエンジニアの自分からすると意図的に壊れるようにしているのか、ロクな検証をしていないかいずれかに感じることは多い。
特に打ち上げ5秒で自爆したロケットについては失敗ではないと言い切った責任者は無責任であったなと感じる。きっと色々経験してきた人というのは想像出来るが故に失敗するはずもないという感じであったが明らかこれは失敗だ。ここは初号機なのでしっかり分析して原因を明確にして引き続き取組と説明すれば良かったのに、プライドが邪魔して余計な説明をしたものだと感じた。エンジニアは設計出来ることが重要ではなく、設計通りになることが優秀な設計者だ。経験をしっかり糧として積み重ねて力にしてほしい。
そのために上位者、責任者はしっかりサポートしてあげることが重要だ。失敗が本当に大事だと思っているのであれば原因を明確にして説明したうえで次回はその部分はせめて成功させるということが最も重要であることを認識してほしい。言葉で擁護するのではなく、資金面や時間などを与え、分析ツールなども使ってさらに実機検証させることをサポートしてほしい。
その結果、ここが原因でこのように対策したので次は大丈夫という結果を出すことが重要だ。イーロンマスクがロケットは難しいという言葉を拾って、だから堂々と失敗するものだと言い切るのは少し違う。アメリカはすでに産業が衰退している国なのでノウハウが失われた国でもある。そのやり方、言い訳まで真似てしまうと日本のエンジニアの力量は下がってしまうだろう。予算も規模も小さい中で同じやり方は評価出来ない。むしろこうやってやれば少ない金額で同じ結果を出すという説明をしてくれることを期待したい。アカデミー賞でゴジラー1が受賞した中で映像もさることながら、評価されたのはハリウッドの何分の1という人数で近しい効果を得られたということもあると思う。日本が引き続き技術大国として世界に君臨していくには日本で考えられたやり方での成功も重要であるということ。
そういう価値観がずれてしまっている経営層だからこういうことになったという風に言われないようにしてほしいし、それがエンジニアを守ること、強いていえばエンジニアを育てることにつながる。みんなだれだって一生懸命やっています。問題はそのちょっとした失敗したときのケア次第で結果もノウハウも変わってきます。
特にロケットは点火テスト時にも異常爆発しており、再現したようにも見えるのが残念である。しっかり説明して次は大丈夫という結果を出してほしい。マスクと同じことをしていて堂々としている限りは同じことを繰り替え宇ような気がする。難しいのはロケットに限ったことじゃない。

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