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ぷりん

合唱というにはうるさすぎた、セミたちの鳴き声がじょじょに聞こえなくなってきた帰り道で、 夕日が道を赤くオレンジ色に照らし、いつもの景色に彩りを加える。 大学二回生になり、もう半年がたつ。 ふりかえると早いもので、気づけば入学した頃の、これからいろいろ始まるんだ、といった初々しい感情はとっくに消え失せてしまっていた。 もうすっかり大学生活にも慣れた楓太は、いつもの駅の改札に着き、タイミングよく来た電車に乗った。 三駅ほど電車に揺られ、そこからさらに五分ほど歩けばつく家

    • 自分の価値観

      留学に来て約1週間が経とうとしている。 留学に来て、いろんなことを考えた。 なるべく、アクティブであろうとしている。いろんなところにいったりと、なるべく外に出るようにしている。 日本にいるときは、自分の部屋にいるのが、大好きだった。 安全な場所で、自分だけの場所で、くつろいだり、好きなことしたり。 でも、自分の場合、引きこもるのが好き、という言葉の裏には、外に出るのが怖い、という意味も含まれていた。 外に出て、何かに傷ついたり、価値観が壊れたりするのが怖かった。

      • ただ自分のために文書を書きたいというわがまま

        今日、『「書く」を仕事に出来る人は何が違うのか』という記事のnoteを読んだ。 目から鱗が落ちるとはこのことなんだと思った。 「他人者のため」に文章を書き、「自分」ではなく、「他者」に興味がある。そんな人が「書く」を仕事に出来るらしい。 自分は、今学生で、仕事をしていない。これから自分がやりたい仕事を見つけなければいけない。 そして、最近、自分の中にこれで働いていけたらいいなと思っていたものがあった、それが「書く」という仕事だ。 文章を書くのは好きだし、書くのはどち

        • 短編小説「青の変化」

          いつからだろう。いろんな感情が心の中をさまよい、自分でもうまく表せないようになったのは。 自分の中で、それも自分の知らないところで、なにかが変わっていってる気がする。  去年まではこんなことはなかった。朝おきて学校に行き、退屈な授業をうけ、大好きなサッカーをする、その繰り返しの毎日で、何事もなくただ忙しく時間が過ぎていった。  はじめて違和感をおぼえたのは、今年の春あたり、高校二年生になってからだ。  いつも通りの退屈な授業をうけていた。ふと窓の外を見ると、校舎の隅に桜が咲い

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