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季刊ritokei『島で守る命と健康』を読んで、離島総合診療医の渾身の読書感想文@離島・へき地で未来の医療体験記

こんにちは!先日次女が室原の似顔絵を描いてきてくれて、上手になったなと素直に驚いたので「お~上手になったね~」と言ったら、「うん、ぱぱハゲじゃなく書いたの!!」って。
#余計なお世話じゃ!!

この後、40度の熱を出した次女

さて、今回は離島経済新聞社が発行する離島のバイブル『ritokei』の医療特集を読んで思ったことを書かせていただきます!
#実は今回室原の活動についても記事にしてくださっています!!あざます!!!
#なんと離島・本土含めて1250か所に設置されているらしい!
#見かけたら手に取ってください!室原がふざけたことを言っています(笑)

今回の特集は、離島で生活するために必要不可欠な医療について書いてくれています。自分がこの特集を読んだ後の正直な感想は、『言葉にならない』です。感想がないわけではなくて、『心がざわざわする』が感想です。
#感想を言葉にするのを諦めました(笑)

きっとその原因はリトケイ読者のスペースで「これだけは欲しい医療環境」という欄の言葉たち。『終活が迎えられる環境』『島で死亡確認ができること』『出産できる医療体制』『島外に出ずに人生の最期を迎えることができる環境』などなど。

自分が『こんな島にしたい!』って思ってるような、日々の診療で叶えてあげられずに悩んでる部分が書かれていました。やっぱりこういう不自由を感じながら暮らしている人たちがいて、逆に言えばそれは自分たち医療者がもしかしたらなんとかしてあげられる部分なのかもしれなくて、自分の技量が足りないから島の暮らしを支えてあげられないのかもしれない。おこがましいと言われるかもしれませんが、じゃあ逆に他に誰がやるんだよとも思う。そんな「申し訳なさ」と「プレッシャー」と「傲慢さ」と「自分への檄」がごちゃごちゃにどろどろに合わさった『ざわざわ』です。
#説明しきった!!!伝わりましたか?(笑)

そしてこの『ざわざわ』がなぜか懐かしくて、その理由は「古民家購入」や「御用聞き」や「米作り」とかを始めたときはいつもこの『ざわざわ』に自分が耐えられなくなった時だったな~って思い出しました。この『ざわざわ』に押しつぶされそうになった時に逃げるように何か動いてみた(笑)自分の原動力はこの感情だったんだって再認識でした!

そして一方で、さっきの「欲しい医療環境」ってのは1人じゃ絶対できないとも思ってて。例え一時的にハード面などを揃えられたとしても1人じゃ継続は無理で、ソフト面は住民、行政、医療福祉機関が同じ目標を向かってお互いを尊重しながら話を聞いて進まないと達成できないとも思うんです。
『僕らの暮らす島を○○な島にしたい。△△な島であってほしい。』みたいなところから、だったらこうするべきだよね。あれが必要だよね。的な。
#完全に友人の受け売りです(笑)

でもほんとにこんなんやれたらいいな~。

1人で踊り続けてたら嫁に「育児しろ!」ってキレられた島の盆踊り。面白かった~

ちなみにこの特集はそんな離島医療の負の側面を伝えたいわけではなく、島の医療の可能性についても伝えてくれています。

離島僻地医療の良さで伝えてくれているのは、やっぱりヒト。ヒトのキャラクターや人生を真ん中に置いて医療が語られる。最近は医療って本来めちゃくちゃナラティブなもんなんだなって気づきました。

昔よく言われていた、「ガイドラインはきちんと読め。勉強しろ。そのうえで、その治療がその人に当てはまるのか考えろ」ってことがすごくしっくり来てる最中です。正直、ガイドラインから外れることにめちゃくちゃに抵抗はあります。ただその人の人生を引き受ける覚悟が出来たら、そんな抵抗は自分のエゴ。その人が望むならできる範囲で決して見放さずにサポートし続ける。これがその人に当てはめるってことなんだって。医療はスタンダードを学び続ければ、はちゃめちゃに自由みたいです。

そして離島僻地医療と都会での医療の違いも言われますが、どっちが良い悪いの議論は誰もしていなくて個人的には同じ人間なので、僕らの仕事は『その人の納得する落としどころ(ニーズ)』をきちんと見定めることなんだとも感じました。

僕は去年から月に1週間熊本市内で医療をして、3週間を下甑島で医療をしています。熊本市内はまあまあな都会なので島とは対局です。去年熊本で働き始めたときは、「離島医療者らしくやったるぞ~!潮風吹かしたる~~!!」ってふんふん息巻いてましたが、働いていて自分の中で違和感がぬぐえず、結局はニーズがずれてるってことが分かってきました。

結局は総合診療医として自分が培った引き出しの中から、『その人の納得する落としどころ(ニーズ)』に合わせて医療を提供するってことが今のところ正解でした。これには離島僻地も都会も関係ない。場所によって違うのは当たり前。ちなみにその引き出しを増やす環境として離島僻地はめちゃくちゃいい場所だと思っています!


そんな感じで、ritokei『島で守る命と健康』の読書感想文を書いてみました!個人的には勢いそのままに書きまくってしまった渾身の一筆で多分過去最長になってしまいました!読んでくださった方、ありがとうございます。

自分が何を提供すべきか、もっともっとニーズを見極める目を養いたいと思います。この目は鍛えるほどにヒトを超え、地域を超えてまだ見ぬ何かが見えてくるような気がします。またよろしくお願いします!

マイ スイート ハニー達

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