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昨日、90歳のおばあちゃんが僕の胸で泣きました。@離島・へき地で未来の医療体験記

たった6年の医者人生ですが、昨日はかなりの衝撃があったので思わず発信しちゃいます。

90歳で独り暮らしのおばあちゃんのお話。

昔はどこかの大きな病院の看護部長をしていたようなしっかりしたおばあちゃん。しゃべりも面白くて、認知症もなく好きな畑をやっている人。夫は亡くなってて、お子さんは島外。

でも、少し前に畑を鍬で耕してたらぎっくり腰に。90歳元気すぎ(笑)。島前病院はそういった患者さんがたくさんきます。痛みの評価をして、ハイドロリリースっていう注射をして2回の外来くらいで痛みはだいぶよくなった。立ち上がりとか歩きも痛みはない。

それでも、腰が痛いといって外来を毎朝受診。毎日来るから一旦入院。他の原因調べても特になくて、入院中も痛くなさそうだから退院して。そしたら退院翌日から毎朝外来受診して。もう一回入院して。入院中痛くなさそうだからやっぱり退院して。心配で島外にいる息子夫婦も来てくれたけど、不安そう。。

次の退院は失敗できないぞ、と作戦を練ることに。頻繁に来ちゃう原因は、腰痛の原因を見落としてるか、不安とか精神面が影響してるか?どっちにしてもまずは「来る前に行っちゃおう作戦」で!

退院翌日から往診、訪問看護の連発。更には本人から電話で「腰痛いから注射して!」と呼ばれれば往診に馳せ参じて腰に注射。今週はもはや毎日(笑)

ちなみに家の前からの景色。絶景。

次の一手をどうしようかな~と思っていたとき。同期と話してて「おっきな優しさで包んであげてよ~」と少しふざけて話してたら、はっとして!

「そうだ、自分が抱きしめればいいんだ!」

昨日もいつものように電話で往診の依頼。「おばあちゃん大丈夫だよ、いつでも近くにいるよ」ってことを伝えたくて続けてる連日往診。もう一歩踏み込んで注射の後に「おばあちゃん、ハグしていいですか?」初めてちゅーするときみたいにいつ言い出そうみたいなドキドキ(笑)

急に咲いたパッと明るい笑顔、そのまま胸の中に飛び込んでくれて「うれしいわ~」と言って涙を流すおばあちゃん。

おばあちゃんの心のいろんな感情が交ざりに交ざって、溜まりに溜まって膿のようにあふれ出たような。

どんな感情があふれたんだろう。孤独、寂しさ、不安、不便さ、人恋しさ、とかとか。

看護師さんと涙の奥の気持ちを考えながら帰る。どんな言葉より、1度のハグで伝わる暖かさの方がおっきいのか。

これからどうなるか分かりませんが、自分の中で今後の診療に大きな影響を及ぼす出来事でした。

以上!!!

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