001_細胞を測る_タイトル

生命科学が「分子を測る」という方法に支配されている、と僕が思う理由について

僕は、生物学の研究者にはなれなくて、
今は会社で働いている。

でも今も、生物学が僕のフィールドではある。

仕事では、
生物学の分野で使われる
いろんな種類の実験装置について
考えたり、調べたりする。

そうしていると、いつも思うんだけど、
今の生物学で使われる実験装置には、
 体を測るものと、
 分子を測るもの、
だけしかない。

生き物を、クローズアップして、
どんどん細かく考えていくと、
いろんな「層」が現れてくるけど、おおざっぱには、

 体
 細胞
 分子

の3つの階層がある。

実験で「体」を測るっていうのは、
例えば、実験動物の、
 体重
 身長
 血圧
なんかを測る、っていうことだ。

「分子」についても、
遺伝子や、タンパク質や、脂質なんかを
測定する技術がいっぱいある。

例えば、
 質量分析とか、
 次世代シークエンサーとか、
 デジタルPCRとか・・・
生き物の分子を、
 とんでもなく高精度で測定したり、
 とんでもない速さで分析したり、
そんな技術がいっぱいある。

でも・・・
「分子」の階層と、「体」の階層の、中間にある存在、
「細胞」を測る技術がない。

「フローサイトメーターとか、顕微鏡があるじゃないか!」
と言われそうだ。

確かに最近は、
フローサイトメーターも、顕微鏡も、
とんでもなく高性能になってきている。

でも・・・
 フローサイトメーターも、顕微鏡も、
結局、「蛍光」っていう光を測っている。

細胞の表面の分子や、細胞の中の分子に、
「蛍光」で目印をつけて、
その蛍光を、
 フローサイトメーターや、顕微鏡で分析してるんだ。

これは・・・
 結局、「分子」を測ってるだろ!
と、言いたくなる。

「細胞」を、
ものすごく小さな「試験管」に見立てて、
その中で「分子」を測ってるだけじゃないのか?

 本当の意味で、「細胞」を測る技術
っていうのが、見当たらない。

このあたりに、
生物学の、
 次のブレークスルー
が、ありそうな気がしている。

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