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PCR、ピーシーアール

PCR、ピーシーアールと喧しい。
PCRってなんだろう?

一言で言えば、
 遺伝子を
 わずか数時間で
 数100万倍とか、数1000万倍に、
 増やす技術
なんだな。

ひとつの細胞には、遺伝子が1セット入ってる。

008_遺伝子が1セット

細胞は、
 ふたつに増える前に、
 遺伝子を2セットに増やす必要がある。

010_遺伝子が増えてから

この、あらゆる生物が持っている、
 遺伝子を2セットに増やすしくみ
を利用するのが PCR だ。

試験管の中で、
 PCRが1回行われると、遺伝子が2倍に増える。
 2回行われると、4倍。

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10回なら、2の10乗で… 1024倍!
20回なら、100万倍!
25回なら、3000万倍!

ものの 2 ~ 3時間で、こんなに増えてしまう。
すごい!

「いや、すごいけど・・・」
「だから何?」
と思うかな?

でも、ほとんどの遺伝子は、ひとつの細胞にひとつしかない。
試験管の中に 1000個の細胞があっても、
ある特定の遺伝子は試験管の中に 1000個しかない、
 ってことだ。

遺伝子って、結局 DNA っていう分子だから、
ある分子が、試験管の中に 1000分子しか入っていない、
 ってことになる。

DNA とか タンパク質 とかの生体分子って、
すぐに容器の壁にくっついちゃったりして、
1000分子とかあっても、すぐになくなっちゃう。

それに、仮に 1000分子が容器の溶液の中に、
安定して溶けてるとしても、
それを分析する手段が、ほぼない。

少なすぎて、検出する方法がほぼないんだ。

数1000万分子、とかのレベルになって初めて、
DNA は、ヒトの手に負えるようになった。

数1000万倍に増やせるようになって初めて、

 遺伝子の量を調べたり、
 遺伝子の配列を読んだり、
 遺伝子操作、つまり配列を書き換えたり、
が、できるようになった。

PCR を手にして、初めて人類は
 遺伝子を手にした!
と言えるようになったんだ。

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