生物のカラダの発生のしくみは、会社組織のでき方を考えるとイメージしやすいかもしれない
うちの小2の息子は今、昆虫にハマりにハマっている。
特に(男の子のお約束どおり)カブトムシとクワガタに夢中なんだけど、その他にカマキリやバッタにも興味がある。
そして、早くも、
カブトムシは幼虫と成虫のカタチが全然違うけど、
カマキリの幼虫は成虫とほぼ同じカタチをしてる。
と気づいたようだ。
「どうして?」
と息子に聞かれて、昆虫にあまり詳しくない僕は、
「カブトムシやクワガタは完全変態っていって、幼虫が一旦サナギになって、全然違うカタチの成虫が出てくるんだけど、カマキリやバッタは不完全変態っていって・・・」
と、しどろもどろに教えてみたけど、どこか間違っていたかもしれない・・・
その後しばらくして、息子は今度は、
「人間のカラダはどうやって卵から大きくなるの?」
と聞いてきた。
人間のカラダも、最初は全然違う幼虫だったんだろうか?と気になったらしい。
そこらへんは、パパの得意分野だぜ!
と、張り切って教えようとしたんだけど・・・
「最初は受精卵っていう単一の細胞だったんだけど・・・」
とか
「それが細胞分裂して、だんだん複雑なカラダができてきて・・・」
とか
小2の子供にどう教えるっちゅーねん!
結局しどろもどろになってしまいましたよ、ええ。
ま、詳しくはネットで動画でも見てくれ、息子よ。
・・・とはいえ、
要するにこれは「発生」のお話だ。
多細胞生物が、単一の細胞である「受精卵」から、だんだん大きくて複雑なカラダになっていくプロセスを「発生」という。
最終的に僕たちのカラダは、
皮膚の細胞とか、
骨の細胞とか、
筋肉の細胞、
目の細胞、
神経、消化器官、血液、・・・
とにかく、いろんないろんな部分に分かれて、
それぞれの部分は、全然違う見た目や機能を持った細胞でできてる。
これが、発生の不思議なところだ。
たったひとつだった受精卵から、なぜこんなにバラエティー豊かな細胞たちができるのか?
しかも、それらがぐちゃぐちゃに混ざるのでなく、ちゃんと組織立ったカタチに並んで、全体としてちゃんと機能するカラダになるのだ。
発生って、本当にすごい仕組みだ。
そして発生の仕組みはすでに、分子レベルで詳しく調べられている。でも、分子レベルの詳細な研究結果を読んでも、なんとなく全体的に「発生って不思議だなぁ」という感覚を拭いきれない人もいると思う。
そんな時は、会社組織のでき方を考えると、イメージしやすいかもしれない。
会社をひとりで起業すると、最初は社長ひとりでなんでもやらなきゃいけないだろう。経理的な仕事も、営業的な仕事も、製品の企画、開発、製造、流通・・・、全部やらないといけない。
そこにもうひとり加わって、社長とふたりで会社を切り盛りするようになったとすると、
社長:経理、営業、企画、開発
2人目:企画、開発、製造、流通
みたいに、ざっくり仕事を分けるかもしれない。
でも、ふたりで一緒にやるような、共通の仕事もだいぶあるだろう。
これが、4人になったら、
社長:営業、企画、財務
2人目:経理、財務、法務
3人目:営業、企画、開発
4人目:開発、製造、知財
みたいに、
各自の得意分野が、やや明確になりつつ、
仕事には、まだかなりオーバーラップがあり、
そして、ふたりの時にはやってなかった仕事を新たにやるようになったりもする。
これが、100人になったら、もう完全に営業部とか、経理部とか、製品開発や製造の専門部署ができたりして、それぞれの部署の仕事はどんどん細分化され、いろんな仕事をかけもちする人はどんどん少なくなるだろう。
発生のプロセスもこれに似ている。
昔、僕は、
「発生とは、細胞たちが互いに「空気を読んで」起こるのだ。」
と教わったことがある。
細胞たちが、
「あ、君はその仕事やるの?」
「じゃあ、僕はこの仕事やるね。」
みたいな感じで空気を読みあって、仕事を分担していくプロセスが、発生だというんだ。
このノリで細胞が増えていくと、自然に仕事が細分化されて、それぞれの仕事に特化した細胞のグループがだんだん明確になってくる。
体の中のいろんな内臓や、目や耳なんかを「組織」って言ったりするけど、体の組織ができていくプロセスは、会社組織ができるプロセスを考えるとイメージしやすい気がする。
ぜんぜん専門的じゃないけど、発生をざっくり理解したい時には役立つイメージだと思うんだけど、どうだろう?
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