マガジンのカバー画像

翻訳通訳ブックガイド

11
翻訳通訳に関連する本をさまざまな切り口で紹介。 翻訳者、通訳者になるために勉強した本、プロデビュー後の愛用書、翻訳者・通訳者が登場する作品紹介など。
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

リレーエッセイ「言葉のプロ・この2冊」/翻訳者としての心構えを思い出させてくれる本(紹介する人:山本真麻)

英日翻訳者の山本真麻です。翻訳で食べていきたいと決意した頃に読んだ本は、いま読み返しても気づきを与えてくれ、情熱を呼び覚ましてくれます。日々のノルマや単価、「正しい日本語」に追われすぎて視野が狭くなったときに気持ちをリセットしてくれる、思い入れのある2冊をご紹介します。 『あなたも翻訳家になれる! エダヒロ式[英語→日本語]力の磨き方』枝廣淳子著者は、環境分野で通訳・翻訳をはじめ幅広く活動されている枝廣淳子さん。翻訳初学者、特に出版翻訳を目指す人をターゲットに、「買ってもら

リレーエッセイ「言葉のプロ・この2冊」/翻訳の森を歩くための本 (紹介する人:菊地清香)

英日翻訳者の菊地清香と申します。翻訳の勉強を始めたころから今に至るまで、私にとっての指針となっている2冊をご紹介します。 『翻訳とは何か――職業としての翻訳』 翻訳をするときは虫の目と鳥の目を持つこと、という。前置詞、冠詞を含め、単語ひとつをおろそかにしない虫の目。そして、文章全体の論理展開をつかむ鳥の目。1本1本の木々と森全体を見ることができてこそ、訳語選びに間違いのない筋の通った訳文が生まれる。フリーランスとして自宅でひとり仕事をしていると、自分の仕事そのものが小さな粒