「裏切りのサーカス」を観て

アクションシーンがほとんどない
しぶすぎるスパイ映画、
「裏切りのサーカス」を観た。
サーカスとは諜報部のことである。

英国諜報部の幹部の中に「モグラ」、
ソ連KGBに通じる二重スパイがいる。
すでに引退した老いたスマイリーが
その探索を命じられるのだ。

その難しい役柄を英国の性格俳優、
ゲイリー・オールドマンが演じる。
いったい誰が裏切り者なのか、
登場人物が多くて皆目わからない。

スマイリーはその困難な作業を
ベネディクト・カンバーバッチ演ずる
ピーター・ギラムを使いながら探索。
その冷徹な追求が息を呑む心理劇だ。

スパイは身元が割れれば
それはすなわち死を意味する。
原作を書いたジョン・ル・カレは
MI5とMI6で働いた人間である。

まさしく本物のスパイだったのだ。
それはジェームズ・ボンドのような
派手なものでは決してなく、
静かに潜伏して情報を得るものである。

ロシアが戦争を仕掛けている今、
諜報部員は暗躍しているのだろう。
彼らの孤独で非情な日常の活動を
この映画で少しわかった気がした。