蜃気楼と陽炎

海の遙か彼方にビル群が見える。

真夏の日本海の岸辺。

たくさんの人にはっきりと見えている。

それは外国の街なのか。


砂漠で水がなく死にそうなときに

オアシスが見える。

近づくと小さな湖は夢か幻か

儚く消え去ってしまう。


アスファルト舗装された道路の

遠くに水たまりが見える。

これもまた近づくと消えてしまう。

「逃げ水」なんて呼んでいる。


すべては蜃気楼。

ないものがあるように見えてしまう。

海や砂、道路の熱と空気の温度差で

光が曲がり、ものが反転して空や街が映る。


ものが揺らめくのは、陽炎だ。

空気が熱で暖められ光が揺らめく。

街が揺らめき、人が揺らめく。

真夏は陽炎の季節なのだ。


ああ、幻でいいじゃないか。

夢は近づけば逃げてしまうものだ。

儚いから、いつまでも追い続けられる。

蜃気楼、陽炎、暑い夏は面白い!