額紫陽花がいい

雨の日の
アジサイは美しい。
毬のようなアジサイもいいけど
最近はガクアジサイも好きだ。
素朴で控えめでやさしくて、
見ていて飽きない。

ガクアジサイは日本が原種で
改良されてホンアジサイになった。
額が発達して装飾花になったのだ。
咲き方が異なるから、
ガクアジサイは「額咲き」といい、
ホンアジサイは「手鞠咲き」だ。

海外で改良されたのは
セイヨウアジサイだ。
水の器、ハイドランジアと
欧米人は呼んでいる。
白い花のアメリカノリノキ、
アナベルはフランス女性のよう。

アジサイを紫陽花と書くが、
白居易がライラックにつけた名という。
平安時代の学者、源順が誤って
アジサイにこの漢字を当てて広まった。
花色が変わるので「七変化」「八仙花」、
俳句では四葩(ヨヒラ)の呼び名が好まれる。

ガクアジサイのようでいて
もっとしょぼしょぼした花の
林や沢に咲くヤマアジサイも
繊細で自然な野趣があっていい。
世界中にいろいろなアジサイがあり、
人々に愛されていることがわかる。

日本のアジサイはやはり紫陽花と
漢字で書くのが雰囲気があっていい。
ガクアジサイもヤマアジサイも
額紫陽花、山紫陽花と書きたい。
なので天気雨で雨に薄陽が当たった
紫色の紫陽花が大好きなのだ。