屈託なく笑う男

新宿歌舞伎町にある
「下宿屋」というバーの
週初めは玉転がしのミヤが
店を仕切っている。

中島みゆきの特選バー
「世情」も仕切ることが多く、
さすがに堂のいった
客捌きは見事である。

話は男と女のことになり、
「どんな男が好きですか?」と
玉転がしのミヤに尋ねると
「ウーン」と唸った後にやおら、

「屈託なく笑う男が好き」
そう言って神妙な顔になった。
好きだった男を思い出したのか、
今好きな男を思い浮かべたのか。

どちらにせよいい男だろう。
腹の中に何も持たず
何もかも忘れるように
ただおかしいだけで笑える男。
玉転がしはいい男がわかる。