褄黒豹紋蝶

橙色に黒の斑点。
豹柄の蝶が舞っている。
一瞬、蛾かなと思うが、
羽根を閉じて止まる。
野性味のある蝶、
その名は褄黒豹紋蝶。

褄は端のことだ。
羽根の端が黒いのは雌。
雄は羽根全体が橙色で
黒の斑点がある。
しかし雌も雄も
褄黒豹紋蝶である。

昆虫辞典はカタカナ表記。
ツマグロヒョウモンだが、
この蝶の感じがまったくない。
やはり漢字で褄黒豹紋と
書けば野獣の感じが出る。
豹柄というだけでいい。

幼虫はさらに野性味がある。
真っ黒な体に一本の赤い筋。
背中に入墨を入れたよう。
長めの棘がぎっしりで
かなり危ない毒虫のようだが、
刺さないし柔らかく毒もない。

スミレやパンジーを食べ、
さなぎは宝石のように輝く。
ようやく孵化して蝶にあり、
豹柄の羽を大きく広げて
花から花へと飛び回る。
豹の生まれ変わりなのだ。