『ハリネズミの願い』

自分に自信がなく、
孤独なハリネズミのお話。
誰も遊びに来ないので、
招待状を書くが渡せずに
しまいこんでしまう。

様々な動物や生き物が
自分の家にやってくるのを
空想しては後悔する。
だったら誰も来なくていいと
思い込むがあまりに寂しい。

自分の姿を鏡に映し、
鏡に映った自分を友達にして
孤独を紛らわせる。
読む人の胸をずしりと刺す
やるせないシーンだ。

この『ハリネズミの願い』は
医師で童話作家の
トーン・テレヘンが書いた。
長山さきさんの訳が
優しく温かく素晴らしい。

祖敷大輔さんが描く
動物たちのイラストも
とても可愛いらしい。
特に主人公のハリネズミは
愛らしく感情移入してしまう。

このハリネズミだけでなく、
我々だっていくら友人が多くても
常に孤独はつきまとうものだ。
そんな時にどうしたらいいのか。
この本は教えてくれる。

自分と気持ちが通じ合う、
たった一人の友達さえいれば十分なのだ。