地生の金蘭
「キンランが咲いてたわよ」
中野四季の森公園で
いつものように朝の
ラジオを体操を終えたら、
お隣の奥さんが
僕と妻に話しかけてきた。
「それって金の蘭ですか?」
とぼけたことを聞くと
「そうよ。上の沼のそばの
雑木林の中でまだ小さいけど
いくつか咲いているわ。
観てきたらいいわよ」
金蘭は地生の和欄。
昔はどこにでも咲いている
ありふれた花だった。
それが30年ほど前から
急激に減って25年前に
絶滅危惧Ⅱ類に指定された。
小沼のあたりいったいを
妻と探したがわからない。
スミレやサクラソウ、
タンポポやハルジオンは
たくさん咲いているけど
金色の花は見当たらない。
翌朝もあたりを散策すると、
ラジオ体操の奥さんと出会う。
さっそく連れて行ってもらうと
奥まったところで咲いていた。
小さな黄色い蕾のような花。
光がさせば金色に輝くのだろう。
この金蘭を金糸で模様とし
光沢のある織物にすれば
金襴緞子になるのだろうか。
あっ、金蘭と金襴は字が違う。
様々な金襴緞子模様があるが、
金蘭と思える柄もある。
日本古来からある和蘭、
金蘭を大事に見守りたい。