小さなヤマボウシ

那須の山荘でとても嬉しいことが
あったのでご報告いたします。

山の道を散歩していて、
切り倒された樹木を目にしました。
左右の枝の張り出しを落とし
見通しをよくするためですが、
片付けられずに放置されていました。
その中にヤマボウシがあったのです。

無残にも幹から切られていながら、
枝枝には見事な花が咲いていました。
白く美しい花が咲いていたのです。
数日経っても放置されたままで、
何ともけなげに咲いていましたが、
花々は徐々にしぼんできたのです。

心に衝動が起きて倒れた幹に近寄り、
花の咲いた小枝を数本手に取りました。
家に戻り花瓶に水を入れて挿すと
しぼんでいた花が蘇ってきました。
綺麗な白さが回復してきて、
リヴィングに輝きを与えてくれました。

数日経ち東京に戻る日になりました。
綺麗に咲いているヤマボウシを
捨てて行くわけには行きません。
5本ほどの小枝を庭の土に挿しました。
2週間後に山荘に戻ってみましたら
なんと土に挿したヤマボウシが
こんにちはと元気に咲いていたのです。

この2週間には夏の暑い日差しや
大雨だってあったに違いありません。
それでも負けずに咲き続けたのです。
いまはまだ小枝の花だけれど、
きっと切り倒された幹の思いを抱いて
少しずつ育ってくれると信じています。
頑張れ、小さなヤマボウシ!