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内包しながら通過する

何かを持っていないということは、必ずしもマイナスではないのかもしれない。 身に付けてこなかった習性、過ごさなかった環境、抱けなかった願望、湧いたことのない感情。 それを得られなかった代わりに、別の何かを得ていたり、「持っていない」という地平からしか見えないものが見えていたり。 自分ではそれが当たり前なので、他人から指摘されるまで気付けなかったり、あまりにも当たり前過ぎて特別なことだとは思えなかったりするのだけど、持たないことで得るものは、案外多いのかもしれない。 そういう意味

内包しながら通過する

    音楽付きの夢

    変な時間に眠ると変な夢を見る。 ムーミンのことを思い出していたせいか、ムーミンの本の挿絵が妙に鮮明に、インクの滲みやぼかし、文字の周りにできる余白まで、詳細にクローズアップされて出てくる。 海の生き物たちがそれぞれの生きづらさをつぶやく独白が、手書き風の文字として挿絵のなかに織り込まれている。陸は海より悲しきものをというけれど、海だって皆かなしいのだ。寂しいのだ。水の中は青々として冷たい。ゆらゆらした存在として生きる心許なさ。忘れ去られてゆくかなしみ。「わたし」は存在した

    音楽付きの夢

    夕方、青い時間

    夕方、青い時間