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ミドルゾーン日記

2020.08.04

土に還ることのない巨大な直線と、吸えない空気を出して動く球体に囲まれて、人とペットの命だけが生き生きとした環境を当たり前の風景に暮らす人達の姿を、メディアはまるで「豊かさの象徴」の様にコラージュして伝えてくる。

その刺激は、地球が一つしかないということを忘れさせるほどのノイズを発生させ、耳鳴りに悩む人の肩に優劣と書かれたタスキをかけて、レースのスタートラインに案内する。

先ゆくランナーは、自らの速さを解説したマニュアルに値段をつけて売りはじめる。

責任や常識という何かを背負ってレースを走る僕たちは、「そもそも競う必要性が無い」という事実を忘れていく。

僕もきっといま、このレースに参戦している。
辞退する方法は今のところ見出せないでいる。感覚的に、この先にゴールテープが無いということだけは分かってきた。

僕は同士のような存在を求めている。
それが「辞退したいと思っている人」を指すのか、「ゴールテープが無いことを分かっている人」を指すのか、それ以外なのかは分からない。

今の僕にとって「分かる」という言葉は「きっと正しい解があるはず」という認識と繋がっている。その認識自体も疑わしい。

でも、今のままではいけないということを、日々の不快感から察知している。

僕はこの優劣のレースではなくて、「不快感を感じる日々」の先ゆく人でありたい。

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