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田舎に流れる時間

2020.01.20

幸せに思う瞬間を言葉にするとき僕は「喉かさ」「穏やかさ」という表現になる。

ここ数年忘れていたけど、今日その幸せを感じ始めた頃の記憶が蘇ってきた。

小さい頃、気候が穏やかでやることのない休日は、ベランダから布団を引っ張り出して、瓦屋根の上に敷いて昼寝をしていた。

「屋根で寝よう」と思い立つタイミングは、春先と秋口の限られた時期で、
計画してる訳ではなく、季節の条件が揃った時にふと思い立って昼寝をする。

そんな日の、田舎の一軒家の屋根上は、この上なく喉かで穏やかで心地よく、とても幸せな時間が流れる。

見えるのは色々な形の雲と青空。
聞こえるのは野鳥の鳴き声と、風で揺れる竹の音。それと、遠くの方から定期的に電車が通る音。
季節の花と、天日干しの布団のにおいがする。

村のようなコミュニティで、2階建ての家より高い建物は無く、見られるとしても仲のいいご近所さんくらい。

上京した先の住まいは、どこも窓の向こう側にマンションが乱立していた。

最初の頃は田舎気分で、日中は当然のようにカーテン全開で過ごしていたけど、都会の情報と人の多さに疲れ始めた頃から、レースカーテンは基本開けないようになっていった。

喉かな季節も、マンションが見える風景と、不特定多数の知らない人たちの存在を感じる環境では、屋根の上で昼寝するあの感覚は彷彿とせず、いつの間にかその感覚を忘れていた。

地球に無理を強いることのない人にとっての幸せは何か。
この数日、グルグルと考えている日々の中で、今日この感覚を思い出せたことはとても嬉しかった。

そして、幼少期より、この感覚をかんじられる環境で育つことが出来たことを、嬉しく思った。

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