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北極シルクロード

北極圏は、21世紀におけるその戦略的、地政学的、経済的重要性から、世界の注目の的となっている。

ModernDiplomacy
ラリタ・S
2024年2月11日

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北極圏は、21世紀における戦略的、地政学的、経済的重要性から、世界的な注目の的となっている。 北極圏の海氷が融解し、新たな航路が開かれたことで、各国は北極圏の未開発資源や貿易機会について考えるようになった。 その結果、北極圏5カ国(ノルウェー、ロシア、カナダ、デンマーク、米国)と北極圏に近接する3カ国(アイスランド、フィンランド、スウェーデン)が北極圏問題の重要なステークホルダーとして台頭してきた。

特に中国は、「北極のシルクロード」の開発など、北極圏における野心的な計画を発表し、北極圏における重要なプレーヤーとして台頭している。 中国の北極圏に対する関心は、過去10年間で急速に高まっている。 周辺的なパートナーであった中国は、北極評議会の積極的なメンバーとなり、自国を「近北極」国家として位置づけている。 2018年、中国は北極政策の概要と極地シルクロードの構築を目指す白書を発表した。 極地シルクロードとは、北アメリカ、東アジア、西ヨーロッパを結ぶ航行可能な北極海航路を指し、より短く経済的に実行可能な輸送手段を提供する。

中国の北極圏への関与は、いくつかの戦略的思惑によって進められている。 
まず第一に、中国はこの地域の豊富な天然資源(石油、ガス、鉱物、非生物資源など)へのアクセスを確保しようとしている。 米国エネルギー情報局の報告によると、北極圏には900億バレルの未発見の石油・ガスが埋蔵されていると推定されており、資源採掘のための魅力的な場所となっている。 さらに、気候変動による北極圏の氷冠の融解は、海運と貿易ルートの拡大の機会をもたらし、中国の経済的利益に貢献する。 
中国の大規模なインフラ・貿易開発プロジェクトである「一帯一路構想(BRI)」は、北極圏の野望と密接に結びついている極地シルクロードはBRIの延長線上にあり、北極圏を通じてアジアとヨーロッパを結ぶと考えられている。 この構想は、北極圏における連結性、持続可能な経済発展、社会進歩を促進することを目的としている。 中国は北極圏のガバナンスに参加し、自国の国益を増進するために北極圏の変化する力学を活用することを構想している。

ロシアは北極圏に直接関与しており、北極圏に近いことから、中国にとって北極圏における重要なパートナーとなっている。 両国は、ロシアの北極圏沿岸にあるヤマルLNGプロジェクトなど、液化天然ガス(LNG)事業を含むさまざまなプロジェクトで協力してきた。 この協力により、中国は増大するエネルギー需要を満たし、この地域の豊富なガス資源へのアクセスを確保することができる。 また、極地のシルクロードに沿ったさらなる協力の基盤を確立するものでもある。 新たな海上航路の開設や未開発資源の開発など、北極圏の経済的潜在力は大きい。 北極圏の主要航路のひとつである北海航路は、ヨーロッパとアジア間の輸送距離を短縮し、コストと時間の節約をもたらす。 中国は、この地域の経済的な収益性を認識し、インフラ、港湾、物流への投資を通じて、こうした機会を活用しようと躍起になっている。 一方、ロシアは北極圏を、貿易と資源採掘の拡大を通じて自国経済を活性化させる手段と見なしている。

北極圏における中国のプレゼンスの高まりは、特に米国やロシアなど、この地域の他の主要国にとって地政学的な意味を持つ。 北極圏における中国の経済的・戦略的利益の追求は、この地域における中国の意図と影響力に対する西側諸国の懸念を招いた。 特に米国は、中国の北極圏における野心は、自国の地政学的地位に対する潜在的な挑戦であると考えている。 北極圏における進化する地政学的状況は、すべての主要な利害関係者の関心と行動に対する微妙な理解を求めている。 北極圏における急速な変化は、環境への懸念を高め、持続可能な慣行と責任あるガバナンスの必要性を浮き彫りにしている。 脆弱な北極圏の生態系は、探査・開発活動の増加により危機に瀕している。 中国はこの地域の主要なステークホルダーとして、環境保護と気候変動への対応の重要性を認識すべきである。

中国が北極圏で傑出したプレーヤーとして台頭し、極地シルクロードを開発していることは、その野心的な地政学的願望を意味する。 中国の北極圏への関与は、より広範な世界的野心と世界秩序を形成したいという願望の反映である。 中国の北極圏戦略を理解することは、21世紀における国際政治のダイナミクスとパワーバランスを理解する上で極めて重要である。 中国の北極戦略が成功するかどうかは、地政学的な複雑さを乗り越え、環境問題に対処し、他の北極圏諸国とパートナーシップを築くことができるかどうかにかかっている。 北極圏が変貌を続けるなか、中国の野望がどのように展開し、この地域の未来を形作るのか、世界は注視している。

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