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飯噺・皮付き牛タンを捌いて食す

5年程前に腰をおかしくさせて整形外科に駆け込んだ際、腰がどうのこうのという以前に医師から

『痩せたら治ります』

と言われた事がある。

ひでぶっ!!
そう断末魔を残し、当方は診察室で爆裂した。
嘘だ。だが白目は剥いた。

『…太ってますかね』
『痩せては見えない』

こいつ……整形外科医の癖に的確に心臓を貫いてくるッ……

結局レントゲン撮っても異常がなかったのでロキソプロフェンと湿布薬を貰い血の涙を流しながら帰宅した。
ショックのあまり【痩せたら治る】の理由を聞き忘れた為、未だにどういう理屈で痩せたら腰痛が改善するのかは分からないままだ。

当時の当方の名誉の為に記載するが、その時も別に肥満体という体重ではなかった。決して、決してだ。別に気になっていたけど見て見ぬふりしていた事を指摘されて怒ってる訳じゃないよ(そう俺は軟弱者だ、腹を立てるほどの人間じゃないのさ)
しかし、血液検査の結果が年齢からみるに良くない数値だったらしい。
確かに、元々運動はしない方だし、年々筋肉の衰えを感じるし、食事が外食気味という傾向にあったのは確かだ。

腰の痛みと医師のダイレクトアタックに心をくじかれ、そこから一念発起し、有酸素運動と自炊を徹底し、あすけんに課金した。

自慢じゃないが、幼稚園から大学、その他あらゆる他者から評価される時のコメントは大体において【(要領が良いとか器用とか即戦力になるとか仕事が凄く出来るとかそういうのは置いておいて)真面目】である。
それって裏を返すと融通が利かない奴じゃん、というのは結構小さい頃から気がついていたが、悲しいのでそこは見ないふりをしておく。
ただ、ルールを守るのは割と得意科目ではあるので、運動する・タンパク質を摂る・早寝早起き・朝日を浴びる、という独居老人みたいな生活をひたすら愚直に続けた。

そこから現在に至るまで、見るからにスーパーボディ!!RIZAP真っ青!!!とは行かないが、年相応、ごくごく一般的な体型を維持する事が出来ている。

今はあすけんを卒業しているが、運動と自炊については現在も継続している。というか、料理に至ってはちょっとした趣味になりつつある。

実は当方、実家が共働きだった事もあり、自分の弁当と週3の家族の夕飯を中・高と作っていたので料理の心得は多少あった。
それに加えて時期はコロナ禍真っ只中。
外出できないけど時間は腐る程あるもんだから結構本格的に自炊するようになり、気がつけば魚は一匹、肉は簡単なトリミング程度なら捌けるようになっていた。

※ここからややグロテスクな写真がありますのでお気をつけ下さい。






皮付き牛タン1キロ


でろん

牛タンも見た目のグロテスクささえ克服できればトリミングが簡単な肉塊である。
こちらは「恋人とバーベキュー行く予定だったけど、予定前に別れた」という友人から譲り受けた牛タン1キロである。
恋人と別れたのは本当にご愁傷さまであるが、1キロの塊肉を二人で食べるつもりやったんか…?

冷凍で届いたので、前夜から冷蔵庫に入れて解凍→半分解凍した状態で皮を剥ぐ作業をするとスムーズに進む。

皮のはぎ方は、包丁を肉に対して並行(切り口側から)に当て、大きく上下に動かして薄く削ぐように剥いでいく。
ここらはYouTubeに有識者達の美しい手さばきが沢山UPされているのでそちらをご参考になさるのが宜しいかと思われる。

皮が剥げたら後はこちらのもの。
部位を四つ(タン先、タン中、タン元、タン下)にカットする。
タン先やタン下は比較的固いので煮込みにするのが吉。その他トリミング中に出た屑肉も入れてしまおう。


一食目は色気のないビジュアル。
洋食だが米と胡瓜のぬか漬け、酢の物が合う。

タン先・タン下を使用した安ワインと市販のドミグラスソース缶のタンシチュー。

塩コショウで下味をつけたタンを適度な大きさに切り、表面がガリっとするまで焼く(中に火が入らなくて良い)
その後肉を取り出し、同じ鍋で玉ねぎ、人参、セロリ、舞茸、大蒜をバターで1時間ほど炒める。
そこにワインと水、先程の肉を入れて沸騰させ、圧力鍋で20〜30分ほど圧をかける。
その後デミグラスソース缶をダバダバ加え、砂糖で丸みを加え、塩で味を調える。

肉は大体400〜450位入れただろうか。しっかり大人4人分位の分量になる。
圧力鍋で30分ほど圧をかけたが、それでも『とろけるぅ〜〜』という食感からは遠く、極太の繊維がほどけるような大変男らしいシチューとなった。
小分けで冷凍しておけばパスタやオムライスのソースになる。
肉を全部食べきってしまっても、ソースには充分コクが残っているので、新たに牛の薄切りやチンした野菜を入れて即席ビーフシチューにしても良い。


二食目はタンカツ。
ソースより塩と辛子で。

タン元を1センチ以上スライスし、両面に隠し庖丁を細かく入れて、小麦粉、卵、たっぷりのパン粉でめかしこませ、160度以下の低温でじっくり10分ほど揚げたのち、最後高温で衣をガリガリにする。
こんなもんは不味くなるわけがない。ただ、翌日持ち越しは全然お勧めしないので、揚げたてを食うべし、である。


ついでにこちらも。らっきょうの塩漬け。

スーパーで芽が出たせいで半額にされてしまったらっきょう達と目があってしまい、家に連れて帰るの巻。
母方の祖母が『市販の漬物は不味い』と言う人で、梅干しでも白菜漬けでもらっきょうでも柚子胡椒でもなんでも作って家に送ってくれたので、当方もそれに倣う。
まぁ……倣うというか……中学入学した初めての夏休みに『家督を相続しろ』とド田舎の祖父母の家に放り込まれ、野菜の収穫の手伝いがてら、祖母を含む近所の妙齢ご婦人方から全ての保存食の作り方を叩き込まれた、という方が正しいのだが。

因みにらっきょうの甘酢漬けはどこのスーパーでも売っているが、塩漬けは中々見ないので、もし諸君等が手を出すのであれば塩漬けがオヌヌメ。野菜室で冷蔵保存すれば1年はパリパリを喰らう事が出来る。


三日目、味噌漬けタンを焼いた物。
タンの脂で焼いた椎茸と葱が旨い。

味噌、味醂、蜂蜜を混ぜて3日漬け込んだもの。
タン中なのでやや硬さが目立つ、丹念に肉叩きで処理して格子状の切り目をいれる。
辛口のよく冷えた日本酒が合う。勿論、飯にも。


まぁ……飯じゃなくてうどんだったんですけどもね……

拙宅、炊飯器がないので鍋で炊いている上に、米は精米しないといけないので、面倒な時は作り置きして冷凍している手打ちうどんが出てくる。
『よく考えたらパンとかそんなだわ』という友人からホームベーカリーを譲り受け、ありがたくうどん打つのに使わせて頂いている。
中力粉や地粉で打つと美味い。地方に行った時に粉を土産がてら買うのもオヌヌメ、安いし。
パスタも作れるぞ(作ったことないけど…)。


基本的にどの料理も【時短でぱぱっと】という分野からはかなり外れているので、所謂趣味飯になると思われるが、是非時間を持て余した際にはみんなも作ってアラモード(突然のまいんちゃん)である。

皆様のお勧めレシピも教えてくだされ〜〜
ではでは!

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