算数の文章題、こうすれば分かる

「先生〜! これ足し算ですか、引き算ですか?」。文章題を読んで、解き方が分からないと、すぐ、こう質問する生徒がいます。あるいは、深く考えもせず(考えることができないので)、とりあえず、割ったり、かけたりして答えを出す生徒もいます。

足すのか、引くのか、分からない!

繰り下がりのある3桁どうしの引き算が計算できるようになっても、文章題は苦手な子は少なくありません。

大人が読めば、瞬時に分かる問題なのに、「足すのかなあ〜、いやっ、引くのかな〜」と頭を悩ませ、最後はヤマ勘で答えを書いて、私の所へプリントを持ってきました。

問題は、「お店で95円のお菓子を買い、100円玉で払いました。お釣りは、いくらでしょう」というもの。
この生徒は、95円➕100円=195円と書いていました。

「○○君、こんなお店を見つけたら、先生に教えてね。この店では、買い物をして、お金を払えば払うほど、お金が増えていくよね。欲しいものは手に入るうえに、お金も増える、いい店だねえ」と声をかけると、「そっか、引かないといけないんだ」と、一応、分かったようです。

「120mある坂道を80m歩きました。あと何m歩けば、頂上につきますか」といった問題でも、足すのか引くのか迷う子がいます。「残りは何mですか」という設問なら、「残り」を問われているから引き算だ、と少し分かりやすくなるかもしれません。

「全部で」は足し算、「残りは」や「あと」なら引き算

どうしても分からない生徒には、最後は窮余の策として、「全部で」なら足し算とか、「残りは」や「あと」なら引き算になることが多いと教えることもあります。

保護者の方が日常生活の中で、簡単な問題を出してあげて、具体的な場面で、足すか引くかを考えると、文章題の壁も乗り越えやすくなると思います。近所で買い物をした際、代金を払う前に「お釣りはいくらもらえるかな」と尋ねてあげたりしていると、渡すお金より、お釣りは小さくなるということが、自然に分かると思います。

かけるか、割るか、が分からない

3桁同士のかけ算や、3桁➗2桁の割り算の計算はできるのに、文章題を読んで、かけ算なのか、割り算なのか分からない、という生徒がが少なくありません。
印象として、3、4年生なら3割ぐらい、5、6年生になっても、1、2割はいる感じです。

文章題の表現によっては、比較的簡単に判断できることもありますが、次のような問題だと、頭を抱える生徒が続出します。

「水道のじゃ口がこわれて、水がもれています。しらべると、1分間に2dLずつ出ています。このもれている水で40dLためるには、何分かかりますか?」

求めるのは全体の数? or1あたりの数(いくつ分)?

文章題が苦手な生徒には、問題を解かせる前に改めて、かけ算・割り算はそれぞれ何を求める計算なのかを確認します。
かけ算は、1あたりの数✖️いくつ分=全体の数、
割り算は、全体の数➗いくつ分=1あたりの数か、全体の数➗1あたりの数=いくつ分と念をおします。

1あたりの数とは、1枚の皿にいちごが5個ずつのっており、そうした皿が8枚あれば、いちごは全部で何個ありますか、といった場合の「1皿あたり5個」という数のことです。

前記の文章題であれば、言うまでもなく「1分間に2dL」が1あたりの数です。「1」という数字が付いているので見分けやすいかもしれません。「何分かかるか」、がいくつ分にあたると判断するのが、子供にはかなり難しいのです。

同じ計算で解ける問題でも、「大きな箱にリンゴが40個あります。これを2個ずつ袋に詰めます。袋は何個必要ですか」という問題なら、かなりの生徒が40➗2=20と正解します。

かけ算と割り算の違いを判断する上で大切なのは、全体の数を求めるのか、1あたりの数(いくつ分)を求めるのかを考えることです。


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