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☆さらっと読書メモ☆ 『その島のひとたちは、ひとの話をきかない―精神科医、「自殺希少地域」を行く』 /森川 すいめい【著】

さらっと読んだだけですが、温かみを感じる本だったのでメモを残します。
人とのつきあい方に勇気をくれました。ありがとう。

「はじめに」からのメモと、感想

  • 「私は生きやすさとは何かを知りたかった」

  • 著者は精神科医

  • 日本の「自殺希少地域」(自殺で亡くなる人が少ない地域)の5か所に一週間程度宿泊したときの記録

  • 結論は最終章にまとめてある

  • 目次はレジュメ(要点をまとめたもの)で、生きやすくなるヒントが書かれてある

  • 最終章には、フィンランドで生み出されたオープンダイアローグという、精神疾患を有する人に対してのケアの形について触れている。
    (オープンダイアローグの本質は、困った人を中心に心配するみんなで集まってワイワイと対話したら多分何とかなるかもしれないというあいまいなケアのスタイル)
    この方法は、自殺希少地域のひとを癒していく形に似ている


以上、本書の「はじめに」のメモです。

目次、結論を後で見返せば実用書のような使い方もできます。
途中の章は、旅のなかでの地域の人々とのやり取りが描かれており、旅行記としても楽しめます。
(歯が痛くなったときに起こった、町ぐるみの大騒動とか面白かったです)

研究の旅、1か所目の旅館で出てきたお菓子が賞味期限切れだったので、おばちゃんに言うと「ほうかほうか」と悪気のない様子で、自分の家から持ってきたらしいお菓子と取り換えてくれたことに驚く著者。
そこから旅ははじまるのですが、最後にはそれは「気にしすぎる風潮」なんじゃないかと思うに至る。

そんな著者の旅の体験を読んでいると、私も同じ体験している気分になって、読み終えたころには「あいさつしてみよっかな~」ってなりました。
コミュニケーションに苦手意識があったけど、この本を読んでちょっと生きやすくなりました。

できることは助ける、できないことは相談する
コミュニケーションは上手下手ではなく慣れるもの

その島のひとたちは、ひとの話をきかない―精神科医、「自殺希少地域」を行く
森川 すいめい【著】

本に出てきた村は以下の5か所です

徳島県の旧海部町(2006年に合併し、現在は海陽町)
青森県の風間浦村
青森県の旧平舘村
広島県の下蒲刈島(旧下蒲刈町、現在は呉市)
東京の神津島

目次

以下の情報は、「青土社」の本の紹介のページからです。

【目次】

はじめに

序章 支援の現場で
 自殺の少ない町は「癒しの空間」ではなかった
 「自殺希少地域」研究の衝撃
 自殺対策は予防と防止に分けて考える

第1章 助かるまで助ける
 家の鍵があいている町で
 ベンチにはいろいろな意味がある
 「病、市に出せ」という教訓
 困っていることが解決するまでかかわる
 解決することに慣れている
 お互いによく出会っているから助けられる
 あいさつ程度の付き合いでも洗濯物を取り込む
 自殺は仕方がないことと思わない

第2章 組織で助ける
 効率化により変わりゆく町で
 「人生は何かあるもんだ」で生まれた組織
 他人のせいにしない
 非営利組織に見出す希望

第3章 違う意見、同じ方向
 東北の自殺の少ない村で
 悪口や陰口はあるけれど
 あいさつ程度の付き合いが孤立感を癒す
 違う意見を話し合えるから派閥がない
 理念で向かう方向を定める
 外に出て行く力がないひとも死なない地域

第4章 生きやすさのさまざまな工夫
 平成の大合併の町で
 困難があったら工夫する
 できることは助ける、できないことは相談する
 コミュニケーションは上手下手ではなく慣れるもの
 現場で課題に答える
 トイレを借りやすい地域
 幸福度が高い地域は男女が平等

第5章 助けっぱなし、助けられっぱなし
 本土とつながったあとの島で
 行政はひとの困りごとを解決するために存在する
 意思決定は現場で
 困っているひとは今、即、助ける
 助け合いではなく「助けっぱなし、助けられっぱなし」
 島の外のひとたちも生きやすくなる
 写真にはひとが写るもの
 「私たちが楽しくなきゃダメだ」

第6章 ありのままを受け入れる
 厳しくも美しい自然の島で
 みんな違うということ
 孤立させないネットワークと対話
 その島のひとたちは、ひとの話をきかない
 島でひとつのコンセプトをもつ
 非営利組織が地域の中心になっていく
 特養でも自分らしく生きられる
 ありのままを受け入れる
 なるようになる、なるようにしかならない

終章 対話する力
 自殺希少地域のひとたちは対話する
 オープンダイアローグの七つの原則
 生きるということ

最終章からのメモ

オープンダイアローグの七つの原則

⓵即時に助ける 「困っている人がいたら、今、即、助けなさい」

⓶ソーシャルネットワークの見方 「ひととひとの関係は疎で多」

⓷柔軟かつ機動的に 「意思決定は現場で行う」

⓸責任の所在の明確化 「この地域のひとたちは、見てみぬふりができないひとたちなんですよ」

⑤心理的なつながりの連続性 「解決するまでかかわり続ける」

⑥不確かさに耐える/寛容 「なるようになる。なるようにしかならない」

自然は厳しい。相手を変えることはできない。何が起こるか分からない。その答えが正しいかどうかは時と場合による。(中略)…そのことばは、こころを平穏に保ちひととの争いを減らす工夫のようにも感じた

➆対話主義 「相手は変えられない。変えられるのは自分」

その島のひとたちは、ひとの話をきかない―精神科医、「自殺希少地域」を行く森川 すいめい【著】


「終章 対話する力」のメモ

  • 自殺希少地域が幸せに満ちた場所かどうかはわからない

  • 追い詰めたり、孤立させたりしないことができるということは確かだと思う

  • ひとが、自殺で亡くなることを防ぐ方法、追いやらない方法はきっとある。

  • 本書はその方法の、一つの側面を、私が体験したことを通して紹介したものであり、それだけのものに過ぎない

  • 願うのは、本書が何かを考えるきっかけになってもらえたらということである

  • 誰かが少しでも生きやすくなることを願っていたい


著者の温かくて信念のある言葉がいいですねえ。



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