Vol.63 救急車の中でみえたこと
1テーマ100コラム 63/100話目
不安だった。
ただそれだけなのだけれど、本人はあんなに大事になるとは思っていなかったとあとから聞いた。
娘が児童相談所でずっと彼女の手を握っていた時に、どんどん力が入っていって、家に帰るのも緊張しているんだなって思うと切なかったよと後で話してくれた。
それにはママと対面したときの状況は、私にママがここにいるよって彼女宇に伝えて、こっちに座ってもいいよといったから、そうしてみた。
そんな感じ。
その後検温しますと言われて、また私たちと同じところに戻ってきた。
後で聞いたことだけれど児童相談所では、ずっと娘が手をつないでいた。
時間が過ぎていく中で、最初はリラックスしていた手も、どんどん緊張して固くなっていったという。
自分の親であっても、緊張するということは、社会的養育の必要なこどもたちにはよくあること。
血がつながっているからなんでも仲良し親子というわけにはいかない。
「近寄るな」「かまうな」という言葉や、「警察呼ばないで」「刑務所に入れないで」という言葉が誰から言われていたのかも確認することはできないけれども、テレビで聞いた、見たというだけでは、こどもはその言葉を使うことはない。
親が意図していないとしても、一緒に暮らしている中で使っているとしたら、それは暴力になったり、ネグレクトになったりする。
自信をなくすにはそれなりの理由がある。
否定され続ける、失敗し続ける、否定し続けられる。
その繰り返しが子どもの心に影響するのだ。
愛をもらえない
愛を感じられないことで、心は歪み、そしてそれは人格形成に影響する。
障がいがあっても、愛をたくさんもらって育った人は、愛を与える力がある。
彼女と暮らしてみて、受けれてもらってないこと、話を聞いてもらっていないこと、適切に話しかけてもらっていないこと。それは明らかだった。
持っている語彙数が極端に少ない。
どんな時に使うのか、それは日常の会話で培っていくものだと私は思っている。
言葉がけが少なければ、言葉を覚えたり使っていくことができない。
ママのコトバを聞いていても、語彙数が少ないなと感じる。
こどもは目の前にいる大人しか見本にできない。
自分自身がたりないと感じるなら、まわりの大人の力を借りるなどしていかなければ、大人の見本を持たないまま成長してしまう。
それが今のこどもたちの課題なのかもしれない。
大人の見本の数が少なすぎることで、起きている問題なのだ。
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