Vol.59 笑い声が聞こえる

彼女と初めて出会ったのは夏。
吐き気がします、頭が痛い、おなかが痛い。
そういってトイレにこもった。
はいたものは何もない。詐病。
具合が悪いと言えば、大人は大丈夫?と声をかける。


その声が欲しくて病気になる。
それはそれはすさまじかった。
ご飯を食べておいしそうにしているかと思いきや、終わりころに「はきそうです」と言ってトイレに立つ。

なら、食べなければいいのにと言いたくなるくらいのタイミング。
おいしそうに食べていても、そのタイミング。
初めての外食は、びっくりドンキー
お子様ランチを頼み、あと少しでアイスクリームだなと思っていたところで吐きそうです。
一瞬、困ったけれどもなだめても、すかしてもそれは止まらない。
だから、キャーと言ってはいたけど、支払いをしに席を立った。

結果、お金を出そうとちょっと振り返るとそこには音を立てずにちゃっかり立っている。おいていかれたら困るからだったのかもしれない。
その音を立てずにというのがとても不気味だった。
ついさっきまで吐きそうですと、店内に響くくらいの声だったのに、全く違う人のようにふるまっている。

あ・・・これが転換性障がいなのか・・。
男の子のような口調だったり、大人のような敬語だったり、数人の人がいるような感じがする時がある。
一瞬、一瞬で変化するのでとらえどころがない。

スイッチが入り、場面が変わるような感じ。
不安な時は、自分にトントンして「大丈夫だよ」と言い聞かせている。
それがまたタイミングが悪いとイラッとすることも少なくないけれども、当初のころと比べると雲泥の差である。
毎日のようにブランコに乗り、走り、夫の休日には暗くなるまでボール投げをして、遊ぶ。
遊びきった日は、爆睡。
中学校の教頭先生は、そんなパラダイスにいて、自宅に戻ったらかわいそうなことになるのかもしれないけれども、自宅以外の家庭を経験できることは本当に、いい体験になると思う。
うまく、お母さん(ママ)を支援できるように、これからも気を配っていきたいと話していた。

修学旅行の後、学校ではどんな印象だったのだろうか?
本人は、その期間に覚えた「うわイ 」と何度も使って楽しんでいる。
声を出して笑うなんて想像もできなかった。

そんな彼女がケラケラと笑っている。
誰も、そんな彼女を想像はしなかっただろう・・・。

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