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私の7%

「人に期待をするな」
(私の6%の続きです)

私はさきちゃんの話をした。
なぜあんなに酷い事を沢山それたのに
それでも一緒に遊ぼうと必死になるのか理解ができない、と。
そして私はついでかのように、
私にあんなにベッタリとついてきていたのに、
話しかけなくなったし、避けられている。と付け加えた。

母は少しの沈黙の後見返りを求めてはいけないと言った。
人に期待してはいけないとも言っていた。

なぜそんな事を言われなければならないのだろうかと、
腹が立つ気持ちが、無意識の間にも見返りを期待していたなによりの証拠のようで
私は耳を塞ぎたくなる気持ちを必死に抑えた。

私はさきちゃんをいじめから助けた。
いや、
助けてあげた。
そう思っていた。

「あなたが自分でさきちゃんを助けるという選択をし、現にさきちゃんは友達とグラウンドでドッヂボールを出来るようになっている。
あなたがしようとした事は成功しているのだから
喜ぶ事だ。
モヤモヤする必要はない」と。

母はやはり私に同調するような事をしようとはしなかった。
こんな時でさえ、「人に見返りを求めるな」
「人に期待をするな」
そう、私に教えたのだ。

人を責めるより、自分の中で落合をつけ
生きていく方が楽だと私よりも何年も長く生きている母は知っていたからだろうか。
諦めのように聞こえるかも知れないが、
変わらないものに変化を求め、改正させるのはとても大変な事で、疲れてしまう。
そして、その労力を使う相手ではきっとない。
そう母は判断したのだろうか。

母は、私の母だから
私が少しでも楽になるよう選択肢を広げていく。

だけど、最後に母は 
分かるよ。分かってるからね。と私を抱きしめてくれた。
強いね、カッコいいね。
そんなあなたが私は大好きだよ。と言った。

あんなに淡々として見えた母は必死に私を抱きしめるのを堪え、
悪い事を何もしていない私の心が黒く塗り潰されるのを止めた。

私よりも悲しそうにしていて
優に私の気持ちを超えるものだから、私の気持ちをこれ以上母に伝える必要もなかった。

私は自分を雨雲だと例えたが
母は私を月のようだと言ってくれた。
例え太陽で見えなくても
雲に隠れていたとしても
確かな輝きがあり、あなたは素敵な子だと。
姉の方が目立ち、私は姉の裏の顔を誰かに話すような事はしていなかった為
必然的に姉の方が好かれていく状況下の中であったも、
私をみてくれていて
私は勝手に作り上げた壁に扉を作り窓を作り、
呼吸がしやすくなった。

その日の月は雲で隠れていたが
私は確かに月を眺めていた。

「私の7%」未熟

「私の8%」死はやはり怖いものでした。

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