雑記(ドラえもん)

 サブスクでドラえもんの新旧含む全映画が公開されていた。懐かしい~となって暇な休日、観てみた。私はのぶ代世代の人間なので、旧ドラにまず手を伸ばす。のび太と大魔境で、ジャイアンが犬の王子の後を追う場面でありえないくらい泣いた。武田鉄矢の歌声でもう駄目だった。泣いちゃう泣いちゃう。私はまだこの映画の放映当時には生まれていなかったけれど仲間を思う気持ちに今も昔もあるものか。やっぱジャイアンなんだよなあ。竜の騎士と銀河超特急を続けて観る。やっぱこの声だよ。この音楽だよ。

 ドラえもんの映画では日本誕生が好きだ。サブスクで知ったが、新ドラえもんバージョンもあるらしい。へん、旧バージョンと見比べてやるかと殊勝な心持で新日本誕生に手を出した。私は三回泣いた。旧より良かった。私は家族ものと動物ものに弱いので、映画の最後の最後、のび太のママがのび太におかえりと髪をなでるシーンで涙は滂沱、エンディングが流れているあいだ中ぐすぐす鼻をすすって、新ドラえもんもいいな……となった。ドラえもんは全部いい。

 今、新しいドラえもんの映画が公開されていて、この前映画館に行った時には、そう言われれば家族連れが目立った。私は幸せそうなファミリーを尻目に「アーガイル」というスパイ映画を選んだのだけど、もちろんそれは面白くて帰りにパンフも買おうかなと思ってショップに行ったらドラえもんの映画グッズを買うお客さんが列をなしていて、なんだい家族なんて! 一人でも生きられるもんね! あっかんべーだ。ドラえもんがいたら家に帰ってぼくにも家族を作っておくれよと頼んだところ、我が家には机がないのでドラえもんが来てくれていなかった。台所のほうの引き出しを開けたら来るかなと思って何回か開け閉めしたけれど、味の素の瓶がころころ転がるだけだった。おれはのび太よりもぐずでのろまでどうしようもない人間なのにね。

 私も子どもと一緒にドラえもんの映画を観たい。ひとりだと観に行く勇気がない。息子という免罪符が欲しい。いい年の大人がソロでドラえもんを見に行くことは罪だから。同世代の親連中に交じって座席なんかとれるか。せめてドラえもんが欲しい。そうしたらいっしょにドラえもんの映画の座席を連番して取られる。G-8とG-7を予約できる。Gあたりの座席がいちばん映画を見やすいので。ドラえもん、俺と一緒に映画を見に行こう! いつでも我が家に来てくれ。どら焼きは用意しておくからさ。

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