MTG 後手意識構築の是非に関する数学的考察

MTGの後手は不利である。特にヴィンテージなどの早いフォーマットであったり、アグロデッキなどは特に先手後手の有利不利の差が顕著である。

例えば、私のアリーナのエクスプローラーゴブリンの実績値だと、先手勝率76%/後手勝率56%と実に20%も差がある。

これは少し極端な区間のデータであるが、他の区間のデータも併せて考えると、概ね15%くらい勝率に差があるように見える。

つまり、後手勝率がボトルネックなのである。プレイングの見直しは必須だが、後手でも勝てる後手意識構築(つまり先手勝率を犠牲にして後手勝率を上げる行為)をすることが数学的に理にかなっているのかを考察してみる。

以前行った以下の考察と同様の手法で考察する。

計算の簡略化のため、ここではメイン/サイドの勝率は同じになると仮定して考察する。また、お互いに常に先手を選択するものとする。
X:先手勝率,X':先手負率,Y:後手勝率,Y':後手負率,Z:BO3マッチ勝率,Z1:G1が先手の場合のBO3マッチ勝率,Z2:G1が後手の場合のBO3マッチ勝率

Z1 = X*Y + X*Y'*X + X'*X*Y = X^2 *Y' +XY(1+X')

Z2 = Y*Y + Y*Y'*X + Y'*X*Y = Y^2 +2XYY'

Z = (Z1 + Z2)/2 = (X^2*Y' +Y^2 +XY(1+X'+2Y'))/2

Wolfram先生に偏微分してもらう。

Xで偏微分した値(つまり、先手勝率のマッチ勝率への影響度合い)

Yで偏微分した値(つまり、後手勝率のマッチ勝率への影響度合い)

Yで偏微分した値をXで偏微分した値で割った値(つまり、後手勝率が先手勝率と比べて何倍重要か)

考察
直観に反して、筆者の状況(先手勝率75%,後手勝率60%)においては後手勝率は先手勝率の0.924倍重要。つまり先手勝率の方が重要であることが分かった。(直観的には、もっとバランスをとった方が良いのでは?と思っていた。) 一方、先手勝率と後手勝率の重要度合は、現実的な定義域(後手より先手のほうが0-20%有利で勝率40-80%)においては精々0.9-1倍差と、ほぼ気にする必要がないと考えられる。
よって、後手勝率と先手勝率の総和が一番大切であり、先手勝率を2%犠牲にしてでも後手勝率を1.5%あげるような、後手を重要視した構築は合理的でないことが分かった。
つまり、後手のバリューが高いカードを入れたいときに、先手勝率を著しく下げる、つまりせっかくの先手を勝ちきれない構築にしていないか?を熟慮する必要があるし、後手前提でメインの土地枚数を減らすこと等はよくない。(後手と先手の土地引ける枚数の平均値が目標値となるような調整が理想的。)

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