見出し画像

PERCHの聖月曜日 24日目

キャンプの経験は、高尚な文化の感覚だけが洗練を独占しているわけではないという大発見に基礎をおいている。よい趣味はたんによい趣味であるのではなく、実は悪趣味についてのよい趣味もあるのだということを、キャンプは主張する。(ジュネは『花のノートルダム』のなかでこのことについて述べている。)悪趣味についてのよい趣味を発見することは、われわれをまったく自由にしてくれる。高尚で真面目な快楽だけを強調するひとは、自分で快楽を減らしているのである。彼は自分が楽しめるものをたえず制限する。そして、よき趣味をたえず発揮した結果、ついに彼はいわば自らに高値をつけすぎて市場から姿を消してしまうようなことになるだろう。ここまできたとき、キャンプ趣味が大胆で機知に富んだ快楽主義として、よい趣味のあとを引き受ける。よい趣味をもったひとは、以前はひどい欲求不満に陥る危険を冒したのだったが、キャンプ趣味のおかげで快活になる。それは消化にいいのだ。

––––スーザン・ソンダク「《キャンプ》についてのノート」『反解釈』 高橋康也ほか訳、ちくま学芸文庫、1996年
*キャンプhttps://artscape.jp/artword/index.php/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97

Electar Lap Steel Electric Guitar
Epiphone American
ca. 1937



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?