PERCHの聖月曜日 69日目
1、
あなたは芸術を日々の生活そのものとしていますか。つまり、それをつねに何よりも先に、そしてあらゆる瞬間に考える、眠りにつく寸前まで、そして目覚めた直後から、ずっとそのことについて考えつづけていますか。
2、
あなたが好むこと、行うことのすべては、芸術的構想を展開し、かつ実作品の制作を促進することにつながっていますか。
3、
あなたは多くのことに興味をもち、あれこれと気分転換することができるような、バランスのとれた人間だと思いますか。
4、
あなたは、広い見識をもち、均衡のとれた人間でありたいと願う中流階級の向上心をもち、多面的な文化を求めていますか。
5、
自分の時間をどのように使っていますか。作品を制作するよりも、芸術について語る時間のほうが多いのではないですか。お金はどのように使っていますか。何よりもまず作品材料の購入に当てていますか。それともとりあえずそこは切り詰めているのでしょうか。
6、
一日もしくは一週間の実働時間のうち、今後の人生を決定することになる自分自身の専門の仕事に、どのくらいの時間を費やしていますか。
8、
芸術家は、自分以外の人間に対しても何らかの義務を負うものだと考えていますか。
11、
あなたは、幼年期あるいは物事を初めて学びはじめた頃に受けた影響、すなわち、かつてのあなたに何らかの解答を与えてきただろう影響を、改めて検証してみたことがありますか。その時代のそうした確信は、現在でもあなたの選択を左右することがありますか。
13、
あばたは、仲間の芸術家や教師もしくは大家たちが芸術について語っていることを、自分自身の制作方針に取り込む以前に、よく吟味し、熟考していますか。
31、
あなたは、自分自身の最初の反応を信じていますか、それともそこから逆戻りしたり、それを意識的に曖昧にしておいたりするのでしょうか。最初の反応の新鮮さを発展させたり、あるいはそれを制作上の習慣にして活かしつづけることができると信じますか。
33
あなたは、気力を奮い立たせたり、驚きを求めたりすることを躊躇しますか。
35、
理性や主題の意味性に頼ることなく、自分自身の経験から作品を制作することを躊躇しますか。
36、
それとも、自分自身は取るに足らない人間だと思ったり、自分の人生はこれまでさほど劇的なものではなかったと思ったり、古典的な教養が不十分だと思ったり、芸術というものはパルナッソスの山(詩歌の世界)やフランス、もしくは自分より上流のエリート階級から生まれるものだと思ったりしますか。
44、
あなたは、称賛されることが自分自身のためになると考えますか。到達すべき地点から、つねに自分はほど遠いところにあると密かに感じているとしたら、称賛など信じることができるでしょうか。どのような称賛であれ、批判的な論評よりはましであると考え、それを信じるでしょうか。称賛にしろ、批判にしろ、それは芸術家としてのあなたに、何らかの影響を与えるものだと考えますか。
ーーーデイヴィッド・スミス「芸術を学ぶ者への問い」是枝開訳『デイヴィッド・スミス』淡交社,1994年,p125-127
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