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PERCHの聖月曜日 93日目

–––本作を作る過程で、観客に伝えたいと思ったことを教えてください。

現在もホロコーストの存在を否定している声がたくさんあります。明らかに事実なのに、修正するようなことが言われているのを目にすると私は怒りを覚えます。ですから、この映画で改めて、あの出来事を語る必要があると感じました。時間が経つにつれ、生きた記憶は遠ざかっていきますから、否定する人や歴史を修正しようとする人たちが出てくる。だから、私はこの出来事についてきちんと語り直す必要があると思いましたし、正面から強く主張するような形で描く方法を探したいと思いました。

同時にこの映画を「現代を生きる私たちの映画にしたい」とも考えました。人間はどのようにして残虐な行為を受け入れるものなのか? どのようにして世の中で起きている恐ろしいことから自分自身を切り離してしまうのか? 自分たちが共犯になること、無関心であること、残虐な行為に及ぶ人間の衝動について描きたいと思ったのです。

人間は時に“争うための理由”を見つけたがっているように見えます。そんなことをしても何も良いことはないのに。私はこの映画で“人間としての私たち”を見つめてみたいと思いました。作品を通じて、なぜ一部の人間の命が、別の人たちの命よりも価値があるものとされてしまうのか? 暴力と抑圧がさらなる暴力と抑圧を生み出すことについても描きたいと思いました。

ーーージョナサン・グレイザー監督インタビュー『関心領域』パンフレット,ハピネットファントム・スタジオ,2024年,pp12-13

Ernst Oppler
Demaskiert (Unmasks)
1921


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