流れに乗るということ
私は現在、アロマテラピーを仕事にしている。
何故、この職業へつくに至ったか、それを思い出す時、「流れに乗って来たんだよなあ」と思う。
それが、どんな流れであったか、ちょっと公開してみたい。
2011年、私はそれまで務めていた会社の契約社員の契約が終了し、無職だった。
暇だったので、戯れの習い事として近所にあった簡単な心理学講座へ通い始めた。
そこで、来年3月にNYへ行くツアーをするよ、と心理学の先生に誘われた。
「暇だし、行こかなNY」と思い、さっそく本屋へ行き、NYのガイドブックを探した。
そしたら、その本の隣にセドナという初めて聞く地名のガイドブックがあった。どうやらアメリカにある観光地らしい。
なんとなく立ち読みしたら面白くてそのまま買ってしまった。
その1週間後、別の用事で別の本屋へ行った。
たしかパソコン関連だかなんだか全く違うジャンルの本を探していたと思う。
でもその本の隣にはこの前とはまた違うセドナのガイドブックがあった。なんでやねん。
ただ、なんとなく有無を言わせぬ雰囲気があり「わかったよ、買うよ」と思い、また買って帰ってしまった。
自宅で読んでいたら当たり前だが、なんだか行きたくなってきた。
これまでろくに海外旅行なんて行ったこともないくせに。英語も全く話せないくせに。
だが、インターネットで調べてみたら、飛行機のチケットも宿の予約も日本語で簡単に出来るではないか。
「なんだ、その気になれば明日でも行けるのか。いや、明日はないなあ。。。明後日にしよう。」
一応パスポートを持っていた私は、初めてセドナの地名を目にしてから10日目、全く旅慣れてもいないのに、ウッカリ1人で出かけてしまった。
今、冷静に考えたら、脳回路がバグっていたんではないかと思う。
セドナとは、知ってる人も増えてきたように思うがアメリカにあるトレッキングが出来る観光地で、所謂パワースポットである。
今でこそ市民権を得た感じはあるが当時の日本ではまだ珍しかったパワーストーン屋さんが軒を連ね、そこら中にヒーラーを生業にしている人がいるような土地柄だった。
せっかくだから、と私も日本語の出来るイギリス人のヒーラーに連絡を取り、会うことが出来た。
昔、日本にいたこともあるという彼女は、偶然にも私の家の近所に住んでいたことがわかり、ひとしきり行きつけのスーパーの話で盛り上がった(笑)
いろんなことを彼女から伝えて貰ったが、その中で言われたのだ。
「あなた、アロマテラピーでも始めてみたら?」
アロマって、ええ匂いするヤツやんなあ?位に知っている程度だった。
ただふと、思い出した。
私の通う心理学講座には、アロマテラピーのスクールで講師をしている子達がいたのだ。あの子達が講師をしているスクールなら、良さそう。
「これも何かの縁だなあ。アメリカくんだりまで来て、この言葉を貰ったのだから始めてみよう。」
日本に戻った私は、すぐにそのアロマスクールを探し、2週間後には通い始めた。
セドナの地名を知ってから1ヶ月程度で、暇人だった私は、のめり込める趣味を見つけてしまっていた。
そこから1年間ユルユルとだが勉強した私は、スクールの母体の会社が募集していたアロマテラピーサロンの就職試験を受けて働くことになった。
沖縄のサロンでの仕事だった。
セドナの地名を見つけて約1年後、無職だった私はトントン拍子にやってみたい仕事に就くこととなった。
始めての一人暮らし。しかも島暮らしだった。インドア派の私の目の前に、笑っちゃうほど碧い海。またいつか書くかもしれないが本当に、いろんなことがあった。
そこで働くこと2年。
母が癌で長くないとわかり、私は実家の京都へ戻ることにした。
もうサロンでの仕事は辞めるつもりだった。
戻って2ヶ月程度で母は亡くなり、看取った父と私は暫くの間、何もしない日々を過ごした。
そこに会社の上司から連絡が入った。
ちょうど京都で新店をオープンすることになったから働いて欲しいと。
私はそこで1年働いた。
そして肘を痛めてこの仕事はもう出来そうにないな、と思った。
今度こそ辞めようと上司に伝えたところ、学んでいたアロマスクールで働かないか、と言われた。
ちょうどスクールは通いやすい場所に移転をしてすぐのことだった。
せっかくなので私はそこへ勤めることにした。
そしてぼちぼち3年になろうとしている。
仕事も趣味もなかったところから、ほんの小さなきっかけと好奇心を頼りに流れに乗って、私の人生は大きく変化した。
さほど期待はなかった。ただ流れに乗ってきた。
いつか何かの参考になれば。
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