八倉

自分の文章で、自分の人生を描いてみたくなりました。

八倉

自分の文章で、自分の人生を描いてみたくなりました。

最近の記事

わたしのはなし

私が生まれて初めて知ったものは「愛」だと思う。 親に愛情を注がれ、本能のままに親からもらったものを短い手足と愛嬌のある笑顔で返してきたんだろう。 物心ついた頃には、自分が愛によって生まれたのだと聞かされていた。 父と母が愛し合って私が生まれたように、この世の人類も神という親からの愛情を持って生まれたのだと。 愛によって生まれた私は、同じように愛を育み、子を成して愛に溢れた国を作るのが私の人生の定めであると教えられた。 当然のように、私はそうすべきだと思っていたし、親と同じ道

    • マルチネーム制度 【ショートショート】

      あるかもしれない未来の日本の話。 「えぇ!?お菊が子供の頃は本名しかなかったの!?」 そう言ってお菊と呼ばれた女性に対し、もう一人の少女は目を見開いて驚いていた。 「そうなんじゃよ。皆薄々気づいてはいたんじゃが、いざ自分の本名とは違う名を名乗ることに抵抗があったんじゃ。」 「いやいや、本名を常に公表してるなんて犯罪に使ってくださいって言ってるようなもんじゃん!そんなの服着ないで下着で外に出てるのと一緒だよ〜。」 「ほっほっほ。正にそうじゃのう……。今から考えてみると孫のメリ

      • 抵抗していないと、時の流れと共に人との繋がりが消えていくのを感じた。 時間と共に消えて欲しくない存在が欲しい時、人は誰か隣にいて欲しいと強く願い、それが結婚という契りに縋りたくなるものなのかもしれない。

        • 4月1日

          はっと目が覚めた。 またいつの間にか寝ていたようだ。最近は意識を手放すように意図せず眠ることが多く、うまくコントロールできていなかった。決まってそう眠ってしまう時は、記憶が混濁する。 今は、一体何月何日の何曜日で何時で、今日は働かなければいけない日なのか、働かなければならない日であれば、時間は間に合うのか。 普段なら、働かなければならない日の前日だった場合はもっと焦っていたのだが、前日はちょうど月替わりの日で、確認を怠っていた為、いつもよりも冷静だった。諦めがよかったのだろう

        わたしのはなし

        • マルチネーム制度 【ショートショート】

        • 抵抗していないと、時の流れと共に人との繋がりが消えていくのを感じた。 時間と共に消えて欲しくない存在が欲しい時、人は誰か隣にいて欲しいと強く願い、それが結婚という契りに縋りたくなるものなのかもしれない。