20241007-01 あの日、小林書店で。
ノンフィクション&ノベルと銘打たれているけど、それを超えた哲学書。
『喜嶋先生の静かな生活』森博嗣(2013、講談社)に通じるそっと心が揺さぶられ続ける良本。感想をAmazonのレビューに書いた。ここに書いてもいいんだけど、誰の目にも触れないからね。
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ってか、私が「備忘録」と称するのは、私が忘れないためのものであって、承認欲求を満たしたいがためのものではないという立ち位置を、自分に言い聞かせたい。
ここではそれ以外のことをふたつ。
ひとつは、主人公が小林書店の店主に薦められた『百年文庫』シリーズのこと。本書では第1巻のテーマである「憧」が引かれている。(p.99)
さださんの「あこがれ」という歌を思い浮かべた。グレープ時代の古い歌。あの若さ(20代の作品)であのようにせつない感情を憧憬として表現できるすごさに、言葉への真摯な向き合い方(決して才能とは言わない)を私は学ぶ。さださんと同時代に生きる幸せを思う。
もう1点が「弱みが強み」(p.154)という主人公の気づき。
それを「フラジャイル」と称したのは松岡正剛さんで、さらにそれを「弱さは強さの欠如じゃない」「弱いことに向き合うことで強さにつながる」と私に教えてくれた平尾誠二さんのことをまざまざと思い出す。
お二人を亡くした喪失感を思う。窓から見える秋雨が寂しさを誘う。平尾さんの訃報も秋だった。
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