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生理の話をしよう #未来のためにできること

立ち上がった瞬間、ドロッと股から血がこぼれる。

はじまった。

トイレに入り、パンツを下ろして便座にすわる。
念のためつけていたナプキンの前方には、血が染みこんでいる。

午後は先輩と外回りで、いつトイレに行けるか分からない。
今のうちにナプキンを大きいサイズに取り替えないと。

1日目と2日目は経血量が多い。
今日みたいに中々トイレへ行けない日は、吸水しきれなかった経血がパンツから漏れないよう大きいサイズのナプキンをつける。
本来日中は2、3時間おきに交換しないと不衛生だけど、仕方ない。
ポーチに手を伸ばした時、子宮が締め付けられるように痛んで、体を折る。

あ、痛い、痛い、いたい。

震える指先でポーチを探り、なんとか取り出した痛み止めを無理矢理のみこむ。
先に薬を飲めばよかった。
こんなに酷いのは久しぶりで、油断した。
体を冷やすと痛みが増すばかりなのに、下半身はむき出しで、内臓は捻れるように痛んで、ズボンをあげることもできない。
股からは経血が太い糸のように垂れ、ぼたりぼたりと便器の中に落ちている。
脂汗が額を伝うのを感じながら、痛みが過ぎ去るのを信じて、待つ。

薬が効いてきたのか痛みが和らぎ、パンツからナプキンを剥がす。
血のついた面を内側にして丸め、替えのナプキンの包装材を巻きつけてサニタリーボックスに捨てる。
新しいナプキンをパンツに貼り付け、股から垂れる血をトイレットペーパーで拭う。
太ももについてしまった血は、デリケートゾーン用のウェットシートで拭き取った。

デスクに戻ると、先輩と目が合う。
「顔色悪いけど、大丈夫?」
私は少し迷って、
「生理きちゃって。でも薬飲んだので大丈夫です。午後、よろしくお願いします」
と、重たい腰をさすりながら笑った。

自分が経験したことのない状況を想像するのは難しい。
詳しく教えて貰わないと、分かるはずがない。

共存には理解が、理解には知ることが必要だ。
そして、知ってもらうには伝える必要がある。

生理の重さや症状、捉え方は人それぞれ違う。
これは、ある日の私の話。
そうなんだくらいに思って、すぐに忘れてもらって構わない。

でも、例えばあなたの周りで生理にまつわることが起きた時、こういう話を聞いたことがあれば、感じ方や見方が少し変わるんじゃないか。

話すこと、ただ聞くこと。
世間話のように、たわいなく。

否定せず、攻撃せず、私はあなたと話がしたい。
それがより良い未来につながる第一歩だと思うから。

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