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十七音句・初秋 ~二十句~

新顔の紙幣ぱりりと秋に入る

教室の椅子を引くおと秋暑し

朝ごはん食べつつテレビ原爆忌

折り鶴へ吹き込む八月のこころ

白桔梗ぱちんと心さらけ出す

鳳仙花ほうせんか死にゆくひとの爪きれい

雑音のラヂオ八月十五日

露の世をたましい老いず無言館

若き日の祖母に恋バナ花カンナ

正座する書道教室つくつくし

天窓のひかりに眠る猫や処暑

流れ星魔法をかける音しゃらら

つゆ草の青のうるおう栞かな

秋の蝶開きて閉ずる羽の音

仮縫いの裾ひるがえす秋の蝶

秋の風つまづく道の平らけし

台風の来るぞ来るぞと脅される

昼月の蒼きうさぎよ野分あと

新涼をベンチの端にふたりきり

押し花にどれを摘もうか花野道