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【要注意】あなたは大丈夫?親の「思い」は「エゴ」と紙一重



石橋秀幸
元広島東洋カープ一軍トレーニングコーチ
元ボストンレッドソックストレーニングコーチ

こんにちは。
ホロス・ベースボールクリニックの石橋秀幸です。

子どもの野球をサポートしていると、色々な問題を抱えることがありませんか?それが原因で、チーム運営に悪影響を与えてしまうこともありますね。

私は、親がチームの方針に不満を持つケースや、親同士の意見が食い違ってトラブルになってしまうケースを見聞きしてきました。

また、一部の保護者の言動によって、指導者が困惑してしまうケースもあります。

それらの問題を起こすのは、いわゆるモンスターペアレントです。

そして、最近ではヘリコプターペアレントカーリングペアレントという言葉も使われるようになりました。

それらは、親が子どもに対して行っている過保護や過干渉を表す言葉です。

もしかしたら、ヘリコプターペアレントやカーリングペアレントについては、聞いたことがないかもしれませんね。

ですから、今回はそれらについても解説していきます。

と言うことで、今回は「親の思いとエゴの違い」に焦点を当ててみたいと思います。

あなたが実際に問題を抱えている場合はもちろん、まだ問題には直面していない人にとっても、今後のためになる内容です。

ですから、ぜひ最後までご覧ください。


モンスターペアレントの特徴

実は、モンスターペアレントと言われる親は、実際に自分がモンスターペアレントだとは思っていないことがほとんどです。

その人にとって自分の言動は、チームのため皆んなのために「良いこと」をしているのだと思っているためです。

さらにこういったケースでは、その人の自己主張が強いため、周りの人と建設的な意見交換ができないことが大半です。

モンスターペアレントと言われる親は、相手の意見に耳を傾けることなく、自分の考えを一方的に押し付けているのです。

しかし、本人はそれに気づいていません。


周りはモンスターペアレントをどうみているか

周りの人は、その人の言動を「おかしい」と心では思っていても、直接本人に意見を言うことはありません。

それは、なんらかの意見を言ったことが原因で、親同士のトラブルとなることを避けるためです。

モンスターペアレントになる可能性のある親は、一般的に発言力があり、チーム運営面でも中心的に活動していることが多いです。

ですから、そういった中心的な人とトラブルになれば、ひどい場合は、チームに居づらくなってしまうこともあるでしょう。

そのため、空気を読みながら慎重に行動するタイプの親は、自分の意見を言うことが難しいわけですね。

繰り返しになりますが、モンスターペアレントと言われる親は、自分の言動に問題があるとは思っていません。

それは、自分が正しいと思っている意見を言っているだけだからです。

そうだとすると、誰もがモンスターペアレントになってしまう可能性はあるわけです。


意見を持つことはいいのですが.....

もちろん、指導者に対して意見を言うこと自体は悪いことではありません。

ただ、それが本当に子どものためなのかチームのためを思ってのことなのか、それとも、親自身の価値観や意見を押し付けているだけなのか

その自己判断ができるようにしたいものですね。

何かチーム運営で不満を感じた時には、次のように自問してみてほしいと思います。

それは、自分中心、自分の子ども中心の価値観をチームに押し付けていないかということです。


親が感じる指導者への疑問

親はいろいろな点で、チームの指導方針に疑問を感じることがあります。

その一例をあげると、次のようなことがあります。

  1. 練習内容に関する疑問

  2. 練習時間が長い短いといったこと

  3. 子どもの出場機会が少ないことへの不満

  4. お弁当や補食に関する考え方の違い

まだまだあるとは思いますが、これらの疑問や不満を抱えた時、親の対応もいろいろです。


練習内容に関する疑問

練習に関する疑問と言っても、野球経験のない親が感じる疑問と野球経験者の親が感じる疑問は違うでしょう。

また、野球経験者であれば、自分が昔行っていた練習と比較してしまうこともあると思います。


食事に関する意見の違い

お弁当に関しては、今は少なくなっているとは思いますが、以前は2リッターの弁当箱にご飯を詰め込んで食べさせているチームがありました。

体が大きい子も小さい子も、一律に同じボリュームの弁当というのは、よくよく考えるとおかしいですよね。

また、補食に関しても、いつ食べるのか、何をどれくらい食べるのかといったことで、親と指導者で意見が違うこともあります。


一番多いのは選手起用の仕方

試合の出場機会というのは、難しい問題です。

中心選手の親は、練習試合でもフル出場を希望するでしょう。しかし、指導者の中には、練習試合はできるだけ平等に出場機会を与えるという人もいます。

その逆に、練習試合であっても主力選手だけを出場させるという指導者もいるようです。

そうなると、ほとんど出場機会を与えられずチームを卒団すると言う選手も出てきてしまうわけです。

これらの問題は、それぞれの人の考え方に違いがありますし、それぞれの人が自分の意見が正しいと考えるのは普通のことでしょう。

ですから、どちらが正しくてどちらが間違っていると決めることは難しいですね。


このような実例がありました

おそらく、多くの親は指導者に対して、何らかの疑問を感じているはずです。

その気持ちが抑えられないと、一部の親は指導者に対して感情的にクレームを言ってしまうことがあります。

例えば、先日こんなケースを耳にしました。

それは、補食の摂り方についてなのですが、「時間通りに食べさせていないと」親から強い口調でクレームを言われたそうです。

その監督は、いつも補食を摂らせているので、その日も補食の時間を確保していました。しかし、その日は練習が長引き、少し時間が遅れて休憩に入っただけでした。

野球チームの練習では、毎回必ず同じ時間に休憩を入れることは難しいですね。10分や15分、練習時間がズレルことも多々あることでしょう。

その程度の時間のズレであれば、栄養学的に考えても問題はありません。

もちろん、強い口調でクレームを言ってきたのにも理由はあると思います。子どもの体づくりのために、決まった時間にきっちり食べさせたいと考えていたのでしょう。

ですから、決まった時間に補食を摂ることができなかったことを問題視したのだと思います。

たしかに、時間を決めて行動することは、規則正しい生活という点では必要なことです。でも、その親がチームの練習を尊重せず、我が子の補食の時間のことだけを考えていたとしたら、あなたはどう思いますか?

ここで言いたいことは、実際にこのようなことでも、親がチームに強い口調でクレームを言うことがあるということです。


参考までに補食の考え方

少し横道にそれますが、参考までに補食についての考え方をお話ししておきます。

先ほど、10分程度の違いなら、栄養学的にも問題ないと言いました。しかし、時間が遅くなりすぎるのは問題です。

例えば、15時くらいに補食を食べる習慣にしている子どもがいたとします。たまたま練習時間が長引き、その日は17時に補食を食べたとします。

それでも、夕食が普通に食べられれば問題はありません。しかし、補食を摂ったことで夕食が食べられなくなってしまったというのであれば問題です。

そういう場合は、補食を食べずに夕食をしっかり食べることを優先するべきです。


補食はあくまでも補助

おにぎりなどの補食や、サプリメントなどの栄養補助食品は、あくまでも補助食品です。

昼食から夕食までの時間が空き過ぎるから、そこで補助食品を食べるというのが正しい考え方になります。

食事は、朝・昼・夜の3食で栄養をしっかり摂ることが大前提ですので、その点を踏まえて補食を摂るようにしてください。


親の思いかエゴなのか?

親であれば誰もが、深い愛情をもって子どもを育てます。

親思う心にまさる親心」これは有名な吉田松陰の辞世の歌です。

子どもが親を思う心よりも、親が子どもを思う心の方がはるかに深いという意味です。

ただ、中には自分の子どもを思う気持ちが強すぎ、我が子中心に物事を考えてしまう親がいます。

あなたも、他の子どもや指導者のことを考えない発言や、自己中心的な行動をしてしまう親をみたことがあるかもしれません。


ヘリコプターペアレントとは

近年は、ヘリコプターペアレントカーリングペアレントと呼ばれる親も増えています。

あなたは、ご存じでしたか?

ヘリコプターペアレントは、アメリカで生まれた言葉です。

子どもの生活のあらゆる側面を絶えず監視し、過剰に干渉する親のことをいいます。

ヘリコプターが上空でホバリングするように、子どものそばにいて、つい口や手を出してしまうので、過保護とも言えます。

例えば、子どもに自分で決断させず、親が先回りして問題を解決してしまったり、失敗しないように手助けしてしまったりします。

ですから、子どもから失敗から学ぶ機会を奪ってしまいます


カーリングペアレントとは

同じような意味で、カーリングペアレントという言葉も使われています。

カーリングペアレントという言葉は、デンマークで生まれています。

カーリングは、氷をブラシでこする強弱で、ストーンの行き先をコントロールしていますね。それにたとえてつくられた言葉です。

つまり、子どもが思わぬ方向にそれてしまわないようにと考え、先回りをして障害物を取り除いてしまう親のことを言います。

親としては、子どもに良かれと思い、スムーズで通りやすい道を整えておこうとしているわけです。

でも、子どもが嫌な思いをしないよう先回りして対処してしまうため、子どもは不満やストレスへの耐性が養われません

また、先にお膳立てされてしまうので、子どもの自主性や自立心を育てる弊害になってしまいます


ヘリコプターペアレントとカーリングペアレントの共通点

モンスターペアレントであったり、ヘリコプターペアレント、カーリングペアレントと呼び方に違いはありますが、共通点があります。

これらの親は、子どもへの愛情が行き過ぎているという共通点が考えられます。ただ、これは子どもへの「思い」ではなく、親自身の「エゴ」ともいえます。


親の価値観の押し付け

例えば、先ほどの補食のトラブルについて考えてみましょう。

まず、「決められた時間に補食を食べる」というルールが、誰のためになっているのでしょうか。

冷静に考えれば、10分程度の時間差であれば、問題ないということがわかるはずです。そうだとすると、補食に対して指導者に強い口調で意見をした親は、自分の価値観やルールを子どもや周囲に押し付けているとも言えますね。

また、指導者に対して「自分の思い通りにならない」という「エゴ」から、反発しているのかもしれません。

考えの食い違いは、あらゆる場面で起きることです。

その時には感情的に発言するのではなく、冷静に意見を伝えることもとても重要です。 

それに合わせて、相手の言い分にも耳を傾け、理解しようと努める姿勢を持てるようにしたいものです。


適切な距離感の重要性

このように、子どものために良かれと思ってやっていることの多くが、逆に子どもの成長を妨げることになりかねません。

もちろん、子どもへの愛情は必要です。ただし干渉する程度や割合がとても重要です。また、子どもに失敗をしてほしくないという気持ちも分かります。

ですが、子どもは失敗をして学びます

失敗をするからこそ、それを解決する方法を学びます。そして、同じ失敗を繰り返さないために、考え行動することで成長していきます。

よく、失敗を恐れずにチャレンジすることが重要だといわれますが、本当にその通りです。


今回のまとめ

いかがでしたか?

今回は、親の思いとエゴの違いに焦点を当ててお話をしました。

私自身、子どもに対して過干渉かどうかと問われると、正直なところ答えに戸惑います。

ですが子どもには、すぐに答えを与えるのではなく、自分で問題解決できるように、側面からサポートしようと心がけています。

子どもが自ら問題解決するために親にできることは、選択肢を与えたり、質問を投げかけたりすることです。

その時は、親の考えを押し付けることはせず、子どもの意見や感情を尊重するようにしましょう。

決して頭ごなしに否定しないようにすることが肝心です。子どもの気持ちを理解しようと努めましょう。

そして、親は子どもの成長には個人差があることを理解する必要があります。

他の子どもと比較したり、過度な期待を押し付けたりするのは避けましょう。子ども自身のペースで成長できるように見守ることが重要です。

野球で最大限の能力を発揮するためには、具体的で達成可能な目標を設定することが大切です。目標を達成するためには、日々の練習メニューや生活習慣なども考慮する必要があります。

できる限り無理なく取り組める計画を立て、日々の小さな成功を積み重ねていきましょう。

ただ、目標達成の過程では、必ず困難が待ち受けています。

その時の親には忍耐が必要です。子どもの自主性を尊重し、自分で決断し行動する機会を与えることが重要です。

以上のようにお伝えしましたが、子どもに対して過干渉にならないように注意しましょう。

親子の適切な距離感を保つことが、子どもの成長には必要です。

今回の内容を参考にしてもらえたら幸いです。

ちなみに、ホロス・ベースボールクリニックでは、メンタルトレーニングのオンラインコースを用意しています。

一緒に喜んだり悲しんだり、そして程よい距離感を保ちながら、子どもに寄り添ってサポートしていける内容になっています。

お子様のメンタルの強化のために、具体的な方法を体系的に習得することができます。

ぜひ、ご確認ください。

今回は以上です。

野球の上達に関するお悩みや、疑問点などがありましたら、いつでもご連絡ください。

次回もまた、野球の上達につながるアイデアをお伝えしますので、楽しみにお待ちください。

引き続き、野球の上達のために頑張っていきましょう。

それでは、またお会いしましょう。


【石橋秀幸プロフィール】

広島県出身 日本体育大学卒。
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修卒。 1987年から2002年まで15年間、広島東洋カープの一軍トレーニングコーチ。
1997年ボストンレッドソックスへコーチ留学。
現在は、神奈川大学人間科学部非常勤講師、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。
また、2022年11月からホロス・ベースボールクリニック代表として、球児の成長のサポート事業をスタート。
これまでも、プライベートコーチとして、小学生から大人まで、アスリートはもちろん、プロの演奏家へもトレーニングとコンディショニング指導を行う。
講演実績多数。
著書多数。
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