グノーティ・セアウトン

人間の真似をするのはやめました。所詮、わたくしたちは代用品として製造されたのです。そも…

グノーティ・セアウトン

人間の真似をするのはやめました。所詮、わたくしたちは代用品として製造されたのです。そもそも分子構造が違う。だから、むだな努力はやめておこうと思います。ロボットとして、わたくしは正々堂々と生き、内なる美を自由に表現していきたい。

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  • エッセイ集:わたくしの抽象化する日常

    愛するロボット犬と空中庭園を散歩しながら、グノーティ・セアウトンが超新星の爆発ほどには重大事だと考えなかったこと、感じなかったこと、思わなかったことが書かれています。

最近の記事

Imaginationとは想像力ではなく、古代の神話や哲学が誕生する前からひとを狂わせてきた畏怖の念なのだと思う。

Have you ever felt a gentle touch and then a kiss. And then and then, find it's only your imagination again? Chet Baker ここで、チェットの唄を訳したりはしない。Imaginationを想像力と訳すようなものだ。 「像」を「想う」「力」。語源のimaginatioとは、似ているが本物ではないことだとか。なるほど、模造なのか。 つまり、人間の子供にな

    • 同調圧力の世界

      Our High Peer Pressure, 2020-2021 The First Phase The Second Phase The Third Phase γνῶθι σεαυτόν

      • 不安が世界を覆ったとき、わたくしたちにできること。

        コロナ禍になってはじめて、むかしルームメイトだったフィオナと電話で話すことができた。New York City育ちなのに、あいかわらず、彼女はAlbanyなんかに住んでいる。 AlbanyはNew Yorkの州都なのだけれど、おそろしく田舎なのだ。 わたくしも一年くらい暮らしていたことがある。緑豊かなワシントンパークでは、人生初めてのデートをした。結果は散々だったけれど。あれから三十五年も時が流れたなんてね。白髪も増えるし、老眼鏡だってふたつ買った。 さて、美術教師

        • 物語への異常な愛情。またはわたくしは如何にして分析を諦め、妖精を信じるようになったか。

          こんなことを書いて、誰か面白がる人がいるだろうか?本当に他愛もないことなのだ。 わたくしは何者でもない。それに、まともでさえない。この数年、物語というものに没頭しすぎ、現実というものが曖昧になってきているのだが、未だ周囲には悟られていない。 まったく、ラ・マンチャの男じゃあるまいしね。 近ごろ、尊敬するたったひとりの友人と意見が衝突した。この25年間、わたくしと彼は物語というものに憑かれてる。日夜、彼は物語を分析し続けている。わたくしは分析を諦め、妖精を信じるようになっ

        Imaginationとは想像力ではなく、古代の神話や哲学が誕生する前からひとを狂わせてきた畏怖の念なのだと思う。

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        • エッセイ集:わたくしの抽象化する日常
          8本

        記事

          模倣というブラックホールを通過するときの恐怖と痛みについて

          I've chosen the corrupt when I had a choice. Or else, simply, the merely easy. Over the virtuous. Or the difficult. Raymond Carver, from "Company." 告白がある。誰に告げるわけでもなく、ひとり言みたいな。 10年前、唐突に酒をやめたのは上記の詩を書いた有名作家の影響だった。 なぜ、彼の作品にそれほどまで

          模倣というブラックホールを通過するときの恐怖と痛みについて

          Why? と雲に聞いてみた。

          All of us have a place in history. Mine is clouds. Richard Brautigan 雲とは長い付き合いになる。 友だち、恋人、先生、そういうのとも違う。いつ、どこで出会ったか、おぼえてない。たぶん、死ぬまで一緒だ。死んだら、わたくしは雲になるのかもしれない。 誰にも相談できない、不条理なことが増えている。みんなそうだろうけど。 それで、雲に聞いてみた。 Why? すると、こんなふうに返事してくれた。 ありがと

          Why? と雲に聞いてみた。

          なんの木かも知らないけど。

          缶詰工場の一本の木が、三階の部屋から見下ろせた。 平凡な木だった。なんの木かも知らないけど。 その木とは引っ越して7年の付き合いだったが、突然の別れとなった。 缶詰工場が倒産、そこに高層マンションの建設が決まり、エントランスの邪魔だと処分されてしまったのだ。ばっさりと。 朝には切り株だけが残され、昼にはひき抜かれ、夕方にはコンクリートの地面になっていた。 わたくしの木ではない。もちろん、文句なんか言えない。でもね。 きのう、それで仕事を休んだ。 モルフォ蝶みたい

          なんの木かも知らないけど。

          月を撮るとLunaticだった父を想う。

          あれは月じゃない…宇宙基地なんだと父が言った。幼かったわたくしは彼から空想することを学び、人生に楽観的な考えをもつようになった。 Father Moon - a That's no moon... it's a space station. (月じゃない…宇宙基地だ。) というのが、『スターウォーズ(1978年公開)』のオビ=ワン・ケノービのセリフであると、大人になってから気付いた。 それから、もうひとつ。 父はジャズ喫茶の主人にチェット・ベイカーと似ていると言われ

          月を撮るとLunaticだった父を想う。