ヒルナンデス!非公式テーマソングができるまで(3)
つづきです。
コロナ禍での思いは、前述の2行のみならず、この曲全体を貫いている。
それは、「会えなくても、バラバラに生きてても繋がっている」ということ。
それはテレビだからこそ言いたいこと。
ヒルナンデス!の現在の視聴率は5%前後らしい。視聴率1%で何人が視聴しているのかは定かではないらしいが、ざっくり40万人くらいと言われている。
相当少なく見積もっても、100万人くらいが観ている。
「今はネットの時代」は間違っていないし、再生回数がモノをいう時代だけど、それは各々が自分の時間軸でバラバラに視聴した結果であって、テレビやラジオのように「せーの」で同時に視聴するわけではない。
ネット番組やライブ配信も当たり前になってきたが、日本全国で100万人が同時刻に視聴するコンテンツは、たぶんまだないと思う。
大勢の人が同時に、同じ内容で笑ったり、泣いたりできるメディアという意味では、いまだ圧倒的にテレビが強いのだ。
「みんなで一緒に笑おう」。コロナ禍においての番組テーマ曲ということで、絶対にそれを言いたかった。
だけど、「会えなくても繋がってるよ」「一緒に笑おう」と、そのまま歌詞にするのは、はっきり言って野暮というもの(言ってしまえばこれだけ歌詞について解説するのも野暮なんだけども・・・汗)。
Mr.Childrenの桜井和寿さんも、
「本当に言いたいことは歌詞にしない方がいい」
という趣旨のことを言っていた。
たとえば誰かを「愛してる」という気持ちをリスナーに伝えようとするとき、それをそのまま歌詞にして終わり、では何のリアリティも感じさせないし、人の心に引っかかることもない。
肝心なのは、どうやって「愛してる」を伝えるか。この世のラブソングは、その数千万、数億通りのバリエーションと言っていい。
はじめに出てきたのが冒頭の「日本中がひとやすみ」というフレーズ。このワンフレーズだけで、「孤独に感じてても、実は日本中の人々が午前中に働いて、昼休みを取っている。みんなで時間軸を共有している」ことが表現できると考えた。
サビの歌詞をもう一度掲載しよう。
Hey!!12時! みんなでひとやすみ
ウキウキひと息 チャージタイム
それが昼なんです
おっきい虹 雨雲をスッと溶かして
がんばろって思える ステキな時間です
あふれるスマイル それが昼なんです
サビではもう一歩踏み込んで「みんなでひとやすみ」とした。
「おっきい虹」は、「じゅう”にじ”」と押韻できるワードでパッと思いついた。みんなの頭上に大きく掛かる希望のイメージ、そして世の中や人々の不安を「雨雲」と表現するところまで、一瞬で定まった。
タイトルも、先代のテーマのタイトル「LUNCH TIME WARS」をもじり、「LUNCH TIME RAINBOW」に決まった。
最後の極め付けが、「あふれるスマイル それが昼なんです」。
お昼に日本列島を俯瞰してみたら、ヒルナンデス!を観る人々の笑顔で溢れていた。そんな感じ。
これで、「どんなに辛くても、ひとまず休憩して、みんな一緒にホッとしたり笑える時間だよ!」ということを、番組タイトルも交えてうまく表現できたのではないか、と思う。
(続きます!)
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