ロジック vs. エモーション

私は小さな外資系日本法人の社長をしています。言ってみれば、日系の会社が海外で現地法人を立ち上げてそこの社長に任命されるようなものです。
規模にもよるでしょうが、営業活動だけをするような規模の現地法人であれば、日本では部長クラスの人が現地法人社長を担うことも多々あります。つまり、私はそれほど偉い立場にはないということです。

とはいえ、日本法人の社員は私のことを当然のように社長としてみます。つまり、様々な場面での決断や方向性を示すことが求められるのです。これは私にとって大きなやりがいであることは間違いありません。

外資系で良く見受けるのが戦略コンサルが会社の戦略を立てるパターンです。(日系でも増えているかもしれません)彼らはファクトベースで理論だてて物事を構築します。なるほど説得力があると思うこともあれば、現場のことをわかっていないなと思うこともあります。当方が良いと思うか否かを本社は余り気にしてくれないことも多々あります。当然日本の立場を明確にして本社とも交渉をするのですが、こちらの意見が通るかは経験的に五分五分です。

さて、当方の意見が通るか否かは置いておいて、一度決まった戦略や組織体制は実行する必要があります。(それか会社を辞めるかです)当然、日本法人の社員に戦略や組織体制に関する変更を何故やるのか(ロジックの部分)を説明して理解を得ようとします。但し、ロジックの部分だけを説明しても納得してくれることはほぼありません。

ここで大事になってくるのが社員のエモーションに訴えかけることです。社員の声をちゃんと聴き、変わることの意義を熱量を持って訴え、焚き付けることが非常に大事だと実感しています。このことは日本人のみならず、どこの国にいっても重要なことです。国籍や住む地域は違えども我々は皆感情の生き物だからです。この部分が上手な人をカリスマ性があると言われます。周りのリーダーを見ているとこれを無意識でやっている人の方が真実味が増しているように思います。とは言え、専門家のコーチングやトレーニングであり程度真実味が出てくる人もいます。

日本法人でも国としての戦略を再構築することがあります。営業戦略や商品戦略などを再考するわけです。現在の時勢や今後の予測、我々が戦っている市場の分析、顧客の動向など幅広くファクトを積み上げてロジックを組もうとします。
ここで営業戦略を例に出すと、今までのやり方や営業としての感覚と違うファクトが浮かび上がってくると違う意味でのエモーションが沸き上がり衝突することがあります。ここでもファクトベースのロジックだけを押し通そうとしても上手くいかないことが多いです。前記した通り、彼らの主張に耳を傾けて理解をする努力をする。そのうえで彼らのエモーションに戦略の意義を語りかけることが非常に重要です。

このように考えていくとロジックとエモーションは対立軸であってはならず、ロジックを構築した上で、エモーションに訴えかけるというセットで物事を進めていくことの重要性を改めて気づかされます。

結局どうしようもなくなってトップダウンで決めてしまうこともありますけどね。

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